私たちの生活と税金・保険は切っても切り離せないものです。韓国で働き、生活するにあたって、どんな税金や保険料の納付義務があるのでしょうか。また、納付方法や税率はどうなっているのでしょうか。
韓国にも、日本と似たような社会保障制度が数多くあります。これから韓国就職しようと考えている方が安心して仕事をしながら暮らせるよう、韓国の各種税金・社会保険についてご紹介します。
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韓国の税金
消費税
「税金」と聞いて多くの人が最初に思い浮かべるものといえば消費税です。私たちの生活に最も身近な消費税は、物を買ったり、サービスを受けたりする時に消費者が負担するものです。
消費税の税率は物によって細かく分かれていますが、一般的には約10%です。レシートには「課税売上」と「付課税」に分けて表示されます。
例えば、「豆腐1,200ウォン(総額表示)」の場合、その内訳は「課税売上1,090ウォン(課税対象額)+付課税110ウォン(消費税額)」と表示されます。
店頭では総額表示
ただ、店頭では消費税を含んだ「総額表示」となっているため、現地の人々も消費税について意識することはあまりないようです。
売り場で商品を選んだり、レストランで食事をしたりする時も総額表示なので、レジで代金を支払う時に慌てることがなく便利です。
所得税
韓国に住民登録している、または韓国に1年以上居住した人は、全ての所得に対して納付義務があります。課税される所得の種類は、利子所得、不動産賃貸所得、事業所得、勤労所得などに区分されています。
韓国の会社で働くことを前提に「勤労所得」について見てみると、この勤労所得のみの場合は個人が確定申告(毎年5月)の手続きを行う必要はありません。
課税の対象期間は1月1日から12月31日までの1年分です。税率は所得金額に応じて決定されます。
日本と同じく、扶養控除の他、個人年金や住宅資金に対する控除もあります。年末調整の際に、関連書類を勤務先へ提出することで会社が申請してくれます。
韓国の四大保険
韓国で就職活動すると、求人情報でよく目にするのが四大保険。国家保険とも呼ばれており、韓国政府が管理・運営する保険です。
- 国民年金保険
- 雇用保険
- 健康保険
- 労災保険
この四大保険は韓国で会社に勤める場合、必ず加入する義務があります。各保険料は毎月の給与から天引きされます。
韓国企業にフルタイムで勤めるなら、四大保険の有無を確認しておきましょう。会社が社員の加入や脱退を申告する義務を負っているため、入社すれば自分で手続きするものはありません。
では、それぞれの保険について詳しくご紹介していきます。
1. 国民年金保険
老後の生活を支える保険として、加入が国民の義務となっています。
韓国での年金受給開始年齢は65歳(1969年以降出生者)です。65歳から一生、国民年金を受け取るためには、少なくとも10年間(120ヵ月)保険料を納付しなければなりません。
20年(240ヵ月)納付した時に受け取ることのできる金額を基準として、それまでに納付した基本年金額と物価上昇率、扶養家族の年金額、利子などから算出された年金額を受け取れます。
もし、納付期間が120ヵ月に満たない場合は、年金の代わりに「変換一時金(既納付金額+利子)」を受け取れます。
韓国で会社に勤める場合、国民年金保険料は所得の9%(雇用主4.5%、本人4.5%負担)です。フリーランスの場合は全額個人負担となります。
日本との二重払いを防止する制度
日本にも国民年金制度がありますが、日本と韓国の間では社会保障協定が締結されています。
これにより、日本の事業主から韓国の支社などへ派遣された場合(5年以上)や現地の企業で採用された場合は、日本の社会保障制度への加入は免除され、韓国の社会保障制度に加入することになります。
つまり、保険料を二重に負担しなくて済むようになっているのです。
ただし、派遣期間が5年を超えない場合は、引き続き日本の社会保障制度のみに加入し、韓国の社会保障制度への加入は免除されます。
この「保険料の二重負担防止」については、派遣か現地採用か、また働く期間によっても変動するので、事前に確認しておきましょう。
2. 雇用保険
失職や退職などで所得が途絶えた場合の雇用保険。韓国で会社に勤めると毎月、所得の0.65%を保険料として納めます(本人負担)。
雇用保険の加入期間が最低180日以上であれば支給の対象となります。ただし、失業保険は自己都合による退職では受け取ることができません。会社の事情により失職や退職した場合に限られます。
失業保険の支給期間は、退職当時の年齢や雇用保険の加入期間などによって、最低90日から最大240日までと定められています。支給額は、退職前の平均賃金(3ヵ月)の50%が原則で、上限と下限が決まっています。
3. 健康保険
疾病や負傷などによる治療費の負担を緩和するための健康保険。韓国の会社に勤める場合は、所得の6.12%(雇用主3.06%、本人3.06%負担)を毎月、納付します。
健康保険に加入すると、風邪を引いたり通院したりする時に、医療費の30%を負担することで医療サービスを受けられます。ただし、病院や治療内容によって変動する場合があります。
長期養老保険
また、あわせて長期養老保険に加入します。
長期養老保険とは、高齢者のほか認知症、パーキンソン病など国が定める老人性疾患で生活が不自由な人が、食事や洗濯、看護処置などの介護が必要になった時に家庭や施設を利用して長期療養サービスを受けられるものです。
長期養老保険の保険料として、健康保険料の6.55%を本人負担で納付します。
個人で保険に加入する人も多数
これらは国で定められた健康保険ですが、多くの人がさらに医療保険や生命保険に個人で加入しています。けがによる通院・入院に対応した保険、疾病に対する一時保険など、日本と同様、保険会社によっていろいろなプランがあります。
特に、韓国で長期滞在する予定のある人は自費で保険に加入しておくと安心です。
4. 労災保険
業務上の理由によって負傷、疾病、傷害または死亡といった状態になった時に、各種治療費や死亡保険金などを支給する労災保険。これは雇用主が全額負担するため、勤労者の負担はありません。
労災保険適用の例として、労働契約に則った勤務時間中の事故、施設の欠陥や管理不足による事故のほかに、雇用主が提供する交通手段(車やバイクなど)での通勤中の事故などが挙げられます。
韓国の四大保険:ワーホリ、留学生としてアルバイトする場合
留学生が週に数日、学校終わりや空いた時間にアルバイトをする場合、基本的に四大保険は適用されないと考えておいた方がいいでしょう。四大保険の加入義務の対象は、月60時間以上の勤労者と定められているからです。
ビザの種類や身分(一般研修生、大学生、大学院生など)によって就労できる時間が決まっているので、アルバイトを探す前に必ず出入国管理局で確認しておきましょう。
事前に許可が必要
なお、韓国で大学や語学学校に通う留学生がアルバイトをする場合、事前に出入国管理局で「資格外活動許可」を得なければなりません。資格外活動許可とは、留学を目的とするビザで韓国に滞在する人が韓国国内でアルバイトをすることを認めるものです。
逆に言えば、この許可なしにアルバイトをすると違法就労とみなされ、強制送還や入国禁止などの処罰を受けることもあるので注意が必要です。
資格外活動許可については、以下の記事で解説しています。
まとめ~仕組みをしっかり理解しておく
どの国でも同じだと思いますが、韓国で生活し働くためには税金や保険料を納めなければいけません。一方で、国民がより安定した生活を送れるように様々な社会保障制度が整備されています。
毎月どれぐらいの負担があり、将来どのようなサービスを受けられるのか、しっかりと知っておくことが大切です。
なお、国民年金、雇用保険、健康保険については年末調整で控除の対象となります。会社に勤める場合は本人負担も少なくて済むので、毎月の給与明細で確認してみましょう。
※この記事の内容は2017年9月現在のものです。
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