皆さん、ネイティブアメリカンのことをご存知でしょうか?大きな羽の冠を付けて顔にペイントを施しているインディアンの戦士のイメージでしょうか?
現在、私はネイティブアメリカン居留地(アリゾナ州、ナバホ族居留地)に在住しています。現地のリアルな生活や問題、おすすめの観光情報をお届けいたします。※1$=109円
ネイティブアメリカンの歴史とは
ネイティブアメリカンは、コロンブスがアメリカ大陸に到達する以前から住んでいたアメリカ先住民のことを指します。領土の侵略を続けるヨーロッパからの入植者達と数多くの戦争を経験し、多くの犠牲者が出ました。
敗戦後、元々住んでいた肥沃な土地を奪われ、Reservation(リザベーション)と呼ばれるインディアン居留地へ隔離されました。
1968年に施行された”Indian Civil Rights act” (インディアン人権法)にて市民権獲得後、アメリカを構成する市民として生活していますが、その一方で、今でも元々隔離場所だったインディアン居留地に住んでいるネイティブアメリカンがほとんどです。
そして、一般的に皆さんが思い浮かべるアメリカの郊外の生活とは異なる独特の生活文化を維持しています。
まるで絵葉書!壮大な風景がすぐそこに
多くのネイティブアメリカンが居住しているアリゾナ州・ナバホ族居留地は、ほとんど開拓されておらず、地平線を見渡せるほどの大地が広がっています。車で居留地周辺をドライブすると、赤土で構成された巨大な岩や渓谷をいくつも見かけます。
夕方になると、夕日で赤く染まった空と大地に感動することでしょう。亜熱帯地方の島国では見ることのできない、はてしない大地の海を見ることができます。
一方で、砂漠地方だからといって、どこもかしこも乾いているわけではありません。湖を楽しむことのできるちょっとした湿地もありますし、森林も多いです。
さらに、日本ではあまり馴染みのない野生動物を身近に見られるところも魅力の一つです。
コヨーテ(キツネの1種)やボブ・キャットと呼ばれる山猫といった野生動物から、イーグル、ファルコン、フクロウの様な猛禽類が空中を舞っている様子を見られる機会も多くありますよ。
私は最初にインディアン居留地を訪れたとき、イーグルが自分の真上を飛んでいるのを見ました。「まるで居留地全体が国立公園みたい」と思ったものです。
とにかく僻地!インディアン居留地の生活
インディアン居留地は、いわゆるド田舎です。徒歩圏内にお店は一つもなく、車がないと生活は成り立ちません。そこは日本の過疎地域と変わりませんね。
1番近い(といっても車で20分は走らないといけない)コンビニも閑散としていて、商品に埃が溜まっている始末です。コミュニティの中心街には必要最低限のお店はそろっていますが、おしゃれな洋服を売っているお店はもちろんありません。
ただ、いかにもアメリカらしいのは、どんなに田舎であってもファーストフード店だけはそれなりに充実しているところです。マクドナルド、Church’s chicken、タコベル、KFCといった代表的なお店はもれなく揃っています。
しかし、都会の生活に慣れている人、日本の便利さを享受してきた私たちにとっては不便すぎて、最初はつらい生活になるかもしれません。
また、乾燥砂漠地帯なので慢性的な水不足に悩まされています。モンスーンの季節以外はめったに雨が降ることがないため、水は大事に使わないといけません。
そして何より厄介なのが砂嵐です。強風+砂塵で一歩外に出ると、砂が目、口、鼻に入り、砂の海におぼれたような状態になります。
さらに悪いことに、その砂嵐は結構な頻度で発生します。ですのでインディアン居留地では高級車を所有している人は1人もいません。砂嵐のたびにボディーが傷だらけになってしまうからです。
レンタカー等でアリゾナへ行かれる方は、砂嵐情報をチェックすることをおすすめします。
ネイティブアメリカン独特の郷土料理
ネイティブアメリカン(ナバホ族)の独特な食べ物としてあげられるのが「フライ・ブレッド」です。フライ・ブレッドは、小麦粉、ベーキングパウダー、水、塩をこねて薄く広げたものをキツネ色になるまで揚げたものです。
シンプルな料理ですが、出来立てのフライブレッドは外側はサクサク、中はモチっとしていてとてもおいしい!現地の皆さんはそのままシンプルにはちみつを付けて食べるのを好んでいます。
それ以外にもおすすめなのが、タコスのフライ・ブレッドバージョン、「ナバホ・タコ」です。フライ・ブレッドに、ひき肉、豆、玉ねぎ、レタス、トマトを乗せた料理ですが、食べ応え満点でおいしいです。一皿でおなか一杯になります。
また、羊肉を使用したナバホ・シチューもおすすめの郷土料理のひとつです。作り方も味付けもシンプルです。
羊肉(マトン)、ハラペーニョ、ジャガイモ、玉ねぎ、にんじん、コーン等を鍋に入れて、3時間ほど煮立たせます。そこに塩で味付けするだけです。
日本のホワイトシチューや、ビーフシチューのようなクリーミーさーはないのですが、羊肉の独特の出汁と、野菜の甘味、ハラペーニョの辛味がマッチしていてとてもおいしいです。
どの料理も居留地のレストランで出されているので、インディアン居留地を訪れた際には試してみてくださいね。
ターコイズジュエリーがとにかく安い!
ネイティブアメリカンで身近な有名なキャラクターと言えば、ディズニーのポカホンタスですよね。彼女が身に着けているジュエリーを覚えていますか?そう、ターコイズです。
ネイティブアメリカンにとってターコイズは彼らのイメージカラーでもあり、彼らのコミュニティの結束を固くする石として大事にされています。また、民族衣装に使用したり、子供から年配の方までターコイズジュエリーのファッションを楽しんでいます。
ターコイズは 「幸せ」「幸運」「健康」をもたらすと言われており、観光客からも絶大な人気を誇ります。
ここでおすすめ情報です!インディアン居留地のフリーマーケットでターコイズジュエリーを購入すると、驚くほど安い値段で購入できます。
日本では2~3万で売られているネックレスが、25ドル(2800円)ほどで購入可能です。ピアスやイヤリングは5ドル(540円)もしないこともあります。
天然石を破格の値段で購入することができるので、居留地の外からわざわざ出向く方もいらっしゃいますよ。
ネイティブアメリカンの娯楽
前述したとおり、インディアン居留地は田舎の中の田舎なので、都会の様な娯楽スポットはありません。一方豊かな自然に囲まれているので、現地の皆さんは自然と触れ合うレクリエーションを楽しんでいます。
ハイキング
居留地にはハイキングに最適な山や渓谷が多くあります。ハイキング専用にトレイル(ハイキング専用の小道)が整えられているスポットも多いです。
ハイキングは登山ほど傾斜がないので、だれでも気軽に楽しみながら行えます。日々のエクササイズとしてハイキングコースをジョギングして楽しんでいる方も多くいました。
湖や川でボート、釣りをして遊ぶ
湖ではテラピア釣りを楽しんでいる人も多いです。インディアン居留地にはそれなりの大きさの湖がぽつぽつとあります。
どこを見渡しても砂漠ばっかりの居留地に気が滅入るときもありますが、水と触れ合うために湖へ足を運ぶと、少しリフレッシュできます。
ただ、暖かくなってくる夏になると湖周辺ではドラゴンフライと呼ばれる蠅が多く発生し、湖には藻が発生して臭いもします。ですので湖へ行くのは、3月4月のまだ肌寒い時期がおすすめです。虫もにおいも少ないので、快適に過ごせます。
大人気のロデオ
ロデオはアメリカテキサスで盛んなスポーツですが、先祖代々馬と身近に生活をし、乗馬を楽しむ人も多いので、ネイティブアメリカンはロデオが大好きです。独立記念日や国民の祝日にはロデオを招致します。客席もほとんど埋まるほどの人気です。
特に人気競技は、ロデオの花形で一番危険度が高い荒牛乗り(bull riding)です。暴れる牛に、8秒間片手だけを使って乗れば成功です。颯爽と走る馬とかっこいい生のカウ・ボーイをまじかに見ることができるイベントですよ。
入場料もそこまで高くありません。この日は当日券が15ドル(1,635円)で、前日に購入すると12ドル(1,308円)程度でした。
ちなみにロデオの会場で必ず販売されているステーキサンドイッチも、皆さんが楽しみにしている物のひとつです。その場でグリルした厚いトルティーヤに、牛肉ステーキとグリーンチリを挟んだものです。
値段は$12と高めですが(ステーキが挟まってますから)、ボリュームもあり、ジューシーでとてもおいしいですよ!
インディアン伝統芸能
ネイティブアメリカンのコミュニティでは、定期的に伝統舞踊のイベントが開催されます。
そのイベントはPAW WOW(パウワウ)と呼ばれていて、原則無料でだれでも入場、見学、参加することができます。ダンスは女性と男性に分かれて、それぞれテーマに沿った衣装で踊ります。
各々手作りの羽や鈴をつけた華やかな衣装を身にまとっていて、見ていて飽きません。皆さんがイメージする「インディアン」の衣装はこの場で見ることができますよ!
男性のダンスでは、羽をクジャクのごとくふんだんに使った華やかな衣装を身にまとって踊る「ファンシー・ダンス」が人気です。
一方女性は「イーグル・ダンス」と呼ばれる、羽織ったブランケットをイーグルのように振り回して踊るダンスや、「ジングル・ダンス」と呼ばれる衣装に鈴をつけたダンスが華やかで見ごたえがあります。
インディアン社会問題
ネイティブアメリカンのコミュニティにも社会問題が存在します。
それは貧困です。インディアン居留地には十分な仕事がないので、働きたくても働けない人が多い状況です。また、貧困から派生するドラッグやアルコール中毒患者も少なくありません。
すべてがそうではないですが、いまだにギャング活動が活発な地域もあるので、私も絶対に夜は1人で出歩かないように言われています。日中もカーテンを閉め切っている家がほとんどです。
そのような中、自立センターやフィットネスセンターを設立し、地域を再度健全なものにしようと頑張っている人もたくさんいます。インディアン居留地は素晴らしい自然と伝統文化を誇る場所です。健全なコミュニティ設立に協力していきたいものです。
まとめ
ネイティブアメリカンの居留地は、元々は住む土地を追われ隔離された場所という悲しい歴史がありますが、それでも人々が、伝統文化を代々継承し、豊かな自然を保護してきました。
確かに様々な問題も抱えていますが、一歩一歩着実にコミュニティを良くしようと頑張っています。実際にネイティブアメリカンの皆さんと触れ合うとイメージも変わると思います。
ちなみに彼らは、アングロサクソン系のアメリカ人よりも私たちアジア人と近い見た目なので、より親しみがわきやすいかもしれません。
壮大な自然、伝統、ショッピング、そして現地のおいしい食事など、インディアン居留地は訪れる価値が十分にある場所です。ぜひ遊びに来てくださいね。
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