新卒でアメリカへ渡ってわかったアメリカ社会のこと

タクシー アメリカで働く

私はアメリカのニューヨークで、ローカルのアートスタジオの一員として働いています。

大学を卒業してすぐに留学生として渡米したため、日本で働いた経験というのはアルバイト程度しかなく、日本企業とアメリカ企業の細かい働き方の違いはわかりません。

それでも、20数年間日本で生きてきた日本人なので、アメリカで働き始めてからいろいろとびっくりしたことはあります。それは働き方というより、物事への考え方だったり、スタンスだったりします。

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アメリカでの仕事は言ったもん勝ち

「言ったもん勝ち」。アメリカで働くにあたって一番頭に入れておくべきことは、この一言に尽きると思っています。

私の仕事はアートに関わる専門職なので、知識や技術を争う世界です。アメリカでの勤続は数十年になりますが、いろいろな場面で「言ったもん勝ち」だなあと思わされてきたものです。

何でもいいから話すのがマナー

最初の面接からしてそうでした。職場に対する質問でも自分の技術のアピールでも、とにかく何でも積極的に話さなくてはなりませんでした。

「そうしなさい」と誰かに言われたわけでもありませんが、アメリカにいるとそういう空気があるんですね。何も言わなければ、興味がないと見なされてしまう。誰も「察して」くれません。

何でもいいから話すというのはあらゆる場面でとても大事で、「自分がその物事にどれだけ興味を持っているかを示すマナー」のようなものです。

黙っていれば「何を考えているかわからない、気持ち悪いやつ」になってしまうんです。

とにかくどんどんアピールする

自分についての話も、仕事に関する話も、どんどん盛ってアピールします。たまにはできないことでも「できる」と言ってしまうんですね。

そして、それを本当にできるよう努力する。「言っちゃったからには頑張る」という、ちょっと無謀な姿勢があるような気がします。

ニューヨークは競争も激しく、他と比べて自分がどれだけ優れているかをアピールしなければ仕事をどんどん取られてしまいます。そのため、「言ったもん勝ち」で仕事を勝ち取っていくというスタイルもよく見られるのかもしれませんね。

アメリカ人の働き方は合理的

アメリカ

アメリカ人の仕事の仕方は日本人ほどきっちりしていない、というのが第一印象でした。もちろん、きっちりしているアメリカ人もたくさんいると思います。

私の職場がちょっと緩いアートスタジオだというのも大いに関係していると思われますが、時間通りに出勤しないことや、大雑把な予定の組み方などに、最初は少し驚いたのを覚えています。

日本ではアルバイトでもタイムカードがあり、遅刻なんてもっての他。様々な規則もあって、髪を染めたらダメ、爪は短く、制服を着用などと決められていますよね。

ところが今の職場は、「仕事さえちゃんとしていれば他には何も求めない」という感じです。これは他のアメリカの職場でも似たようなところがあるように思います。

外見より成果を重視

例えば見た目。日本ではオフィス業務などでも髪型や服装に制限のようなものがあると聞きます。あまりにユニークなものは受け入れられないということでしょうか。例えば金髪だとか、パンクファッションだとか。

接客業はまた別かもしれませんが、ニューヨークの私の職場ではそういったルールはまずないです。見た目などは、はっきり言ってどうでもいいんでしょうね。それに、個人の趣味やセンスを制限したり否定したりすることの方が問題になります。

社員の見た目で「会社のイメージ」をコントロールすることより、社員の働きによって得る結果で「何ができる会社なのか」をアピールすることを優先しているという感じでしょうか。

スキルがあれば勤務態度は二の次

例えば、毎朝必ず遅刻もするし、タトゥーだらけでピアスだらけ、すぐに早退したりする同僚がいます。しかし、仕事の腕は超一流で、他の社員が1週間かけて終わらせるプロジェクトを1日で、しかも完璧に仕上げることができます。

その同僚の勤務態度はいいものとは言えませんが、会社は彼をとても大事にしています。それは、誰よりもいい結果を出すからです。

抽象的なルールに縛られず、とても合理的に仕事をするというスタイルなのだと思います。

アメリカで働いて驚いた時間感覚

地下鉄

日本では当たり前の「ちゃんとしていること」が、アメリカでは当たり前ではありません。特に時間です。

なんとなくですべてが動く

朝、通勤に使う地下鉄には時刻表がないんです。日本では駅のホームに絶対にあって、2分でも遅れがあれば「ご迷惑をおかけしております」のアナウンスがありますね。

ニューヨークでは、「だいたい10分も待てば次の電車が来る」みたいにふわっとした感じです。そして当然、来ない場合も多く、絶対に遅れることができない日はみんないつもより相当早く家を出るようにしています。

また、電気の修理などでも時間をきちっと決めることがありません。「あさってかしあさっての午後1時から5時の間に行きます」などが多いのです。

日本で電気や水道の修理を頼んだら、「明日の午後2時に伺います」などとなって、実際2時にちゃんと来てくれますよね。

世界から信頼される日本の文化

そういった日本の「ちゃんとしていること」は実はすごいことであると、アメリカで働いて身に染みました。これは世界では当たり前ではないのです。ものすごく珍しく、素晴らしいことなのですよ。

そして、アメリカで働いている日本人や日本のレストラン・お店のサービスも「ちゃんとしていること」が多いので、アメリカ人の日本人や日本のものに対する信頼は厚いと感じます。

アメリカで仕事をするなら忘れてはならない多様性への意識

国籍

アメリカでとても重要で、仕事の上で無視できないのが差別問題です。特に、アメリカ企業に就職したいと考えている方は気をつけてください。日本人から見ると、みんな過剰なまでに気を配っています

人種、ジェンダー、宗教など、多様な人や文化が入り混じるニューヨークでは、アメリカの中でも特に気を遣わなければいけません。プロジェクトを組むにあたっても、人事に関しても、様々な人種やジェンダーが混ざるよう配慮する必要があります。

もし、あるプロジェクトチームに女性が入っていなければ「女性差別だ」となるかもしれず、もし、上層部の人たちが全て白人であれば「私が昇進できないのは肌が黒いせいか?」と訴えられるかもしれないからです。

差別意識が仕事の評価にも影響

ニューヨークでは、「差別者」とレッテルを貼られることは恥ずべきことです。

アメリカの南部や中西部などでは、例えばトランプ大統領支持者のように差別意識を持った人も多いようですが、ここニューヨークでは、「差別者であること=教養のないバカ」「多様性を認められない時代遅れ」となります。

そして、その評価は当然、仕事に響きます。これを避けるために、訴訟にならないために、みんなとても気を遣っています。

傷つけ合わないために大切なこと

日本も現在は多様化してきたと思いますが、私が日本にいた頃はほぼ日本人しかいませんでした。そのため、差別問題といったようなことは、ニューヨークに来たばかりの頃は考えたこともなかったです。

しかしすぐに、これはとても繊細かつ重要なことなのだと気づき、仕事を始めてからはさらにこの問題に注意するようになりました。とにかく人種、ジェンダー、宗教などについては軽率に口にしない方が吉です。

日本も多様化が進み、いつかこのようになるかもしれないですね。人種や文化が違えば、考え方も違うのは当たり前です。その中で、傷つけ合わないためにお互いを尊重する姿勢を常に持つというのは大事なことだと思います。

アメリカの職場ではカジュアルに何でも交渉

ポイント

昇給、昇進、有給休暇の消化。これらの話を上司に切り出すのは、ちょっと勇気が要りませんか。図々しいと思われないだろうか、と……。

しかしアメリカ人は、そんな遠慮は全くなしにこういった話を上司にしています。私は未だにちょっと緊張しますが、彼らはやはり先述の「言ったもん勝ち」精神なのか、気軽に給料の値上げ交渉などをしているのです。

ダメだったらダメでいい、「It won’t hurt.」、つまり「言うだけタダだろ」という感じで、カジュアルに昇給や昇進の話をしているようです。

有給休暇などを使ったバケーションも、行きたい時に行きます。 仕事とプライベートの切り替えは本当に上手だなと思います。オンとオフをはっきりと分けていて、バケーションで気持ちをしっかりリフレッシュして仕事に戻るという感じです。

まとめ~日本人らしさを生かしつつアメリカ流に

アメリカの庭

最初に述べたように、私は日本で就職した経験がない上、職場もちょっと特殊なので、一般的な「アメリカでの働き方」というのは提示できなかったかもしれません。

でも、ニューヨークで働くなら特に「外見など細かいことより実力」「差別者にならないよう気をつける」ことは重要です。

そして何より、「日本的にちゃんとしている」ことは大きな武器なので、これをアピールして良い仕事を得られるチャンスは大いにあると思いますよ。

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