アメリカでお医者さんに診てもらうには、まず主治医のオフィスに連絡し予約を取る事から始まるので、診てもらうまでにはおよそ1か月くらいかかるのが普通です。
でも日々過ごしていると、急な病気やケガですぐにでもお医者さんに診てもらいたいという場面も出て来ますよね。
そんな時に予約なしで利用できるのが、Urgent care clinic(アージェント・ケア・クリニック)と病院のER(エマージェンシー・ルーム)です。
そのどちらも利用した事がある私の経験から、アメリカでの受診方法やそれぞれ掛かった費用などをご紹介します。
あらかじめ保険のネットワーク内の医療機関を調べておく
まずは、あらかじめ自分が加入している保険会社のネットワーク内のUrgent care clinicや病院を調べておくことをおすすめします。保険にはCo-insurance(コーインシュアランス)というものがあります。
Co-insurance(コーインシュアランス)
これは医療機関で掛かった費用を保険会社から支払ってもらう際に自分で負担しなければならない割合の事を言いますが、ネットワーク内とネットワーク外ではこの割合が違ってきます。
自己負担となる割合
例えば血液検査やMRIなどの検査を受けた時の費用で自己負担となる割合は、ネットワーク内の病院であれば20%、対してネットワーク外の病院では50%となり、自分で払わなければならない金額に大きな差が出てきます。
ネットワーク内かどうかを調べるには、各保険会社のサイトにあるFind ProvidersやFind a Doctorで検索できます。
受診するにあたって必要になるもの
- 保険証カード
- 運転免許証などのID
- ソーシャルセキュリティーナンバー
- 勤務先住所や電話番号
- 現在服用している薬があれば、その詳細リスト(例:Aspirin 81mg 1 tablet by mouth/day)
- 入院や手術歴があればその理由と日付
- 主治医の名前ならびに住所と電話番号
- 行きつけの薬局の名称ならびに住所と電話番号
保険証カードとIDは必須ですが、その他もほとんどの場合で口頭で聞かれたり、書類への記入を求められるものです。また支払いのための現金やクレジットカードも必要になります。
これはUrgent careやERに限らず、初めて行く医療機関で受診する際にも共通する事です。
Urgent care clinic(アージェント・ケア・クリニック)
風邪による熱や咳、重傷ではないケガなど命に関わらない程度の症状の場合に向いています。朝7時から夜10時までなど24時間ではないものの、土日祝日も含めて毎日開いていて予約をせずに行く事ができます。
予約
待ち時間を短縮したい場合は、クリニックのサイトや電話で予約を入れる事もできます。
クリニックにはレントゲンや血液検査のラボなどの設備もあり、その場で診断できるようになっているのでインフルエンザなど早めの処置が有効な場合にも適しています。費用面ではERに行くよりずっと安く済みます。
インフルエンザかも?で行ってみたUrgent care clinic
ある日の朝、私の夫が喉の痛みや倦怠感など、インフルエンザと思われる症状が出ていたので行ってみました。受付をするとCo-Pay35ドルの支払請求がありました。
Co-Payとは
Co-Payは医療機関でサービスを受ける度に支払わなければならない自己負担額の事を言います。
例えば、通常の主治医への通院時のCo-Payは10ドル、Urgent careの場合は35ドルといったように決められており、保険会社によって規定が異なります。
夫は診察・検査をしてインフルエンザと診断され、タミフルが処方される事になりました。
一緒に行った私は何も症状が出ていませんでしたが、持病があるためインフルエンザに罹ると重症化しやすいのでその旨話すと、予防的に私の分のタミフルも処方してくれました。
間もなく私もインフルエンザを発症しましたが、おかげで軽めに早く治りました。
処方薬
他の医療機関でも同様ですが、処方薬は別途WalgreensやCVSなど自分の行きつけの薬局に買いに行く事になります。
その際の処方箋は、紙の処方箋を渡されるか、またはその医療機関から直接薬局にメールで送信してくれたりもします。
掛かった費用ですが、クリニックからの請求額は506.66ドルでした。
この時うちの保険はBlue Cross Blue Shieldという保険会社のプランで、Deductible400ドル、Co-insuranceは20%という契約内容でした。
Deductible(ディダクティブル)
Deductible(ディダクティブル)というのは、年度内に掛かった医療費の合計金額が設定額に達するまでは保険会社からの支払いを行わないという免責額のことです。
このDeductibleの設定額は保険会社のプランによりさまざまで、設定額が低くなればなる程、月々の保険料は高くなります。
うちの場合、この時はまだDeductibleの400ドルに達していなかったため、 費用は保険でカバーされず、保険会社を通して行われた値引の恩恵だけを受け、325.98ドルの自己負担となりました。
(金額は2018年2月のものです)
病院のER(エマージェンシールーム)
Urgent care clinicとは
Urgent care clinicは、応急処置だけで済むような、命に関わらない軽い症状の場合のみに対応しています。
対してERは、軽い症状から心臓発作や脳梗塞など、日本なら救命救急センターで扱うような命に関わる重篤な病気やケガに至るまで、全ての症状の患者に対応しています。
トリアージ(triage)
ERではトリアージ(triage)と呼ばれるシステムがあります。受付が済むと看護師による問診が行われ、症状の緊急度によって処置の優先順位が決められます。
緊急度の高い患者から優先的に処置を受けるので、急を要しない症状の場合は待ち時間が長くなります。
24時間年中無休
24時間年中無休で開いていて、MRIなどの設備も整い早急に適切な処置を受ける事ができますが、費用はかなり高くなります。
心臓の動きが変な感じ……で行ってみたER
心臓の動きが不整脈のような変な感じがして、更に息苦しさを感じる事がありました。私本人は大丈夫だろうと思っていましたが、夫にERに連れて行かれてしまいました。
書類の記入などをして受付を終えると、看護師さんからどのような状態なのか、いつからなのかなどの問診を受けました。これが前述のトリアージにあたります。
私はその後処置室へ車椅子で移動させられました。医師が診察し心電図を取ったりして検査が終わり、結果カフェインの取り過ぎによるものではないかという事で専門医を紹介され、3日以内に行くようにと指示を受けました。
その後、会計係の人が来てCo-Pay150ドルの支払いを請求されました。この時のうちの保険はCignaという保険会社のものでしたが、ERのCo-Payは高額で保険会社によっては250ドルや500ドルといった場合もあります。
この時掛かった費用ですが、病院からの請求額は5,624ドルでした。そこから保険会社と病院間での交渉で値引され、最終的に病院への支払額は1,934ドルとなりましたが、
うちの保険の契約内容がERに関してはDeductible関係無しに100%カバーというものだったので、自己負担としてはCo-Payの150ドルだけでした。(金額は2017年4月のものです)
まとめ
このようにUrgent care clinicやERは、費用が多少高額にはなりますが緊急時には有用な医療機関です。アメリカの保険はさまざまな規定があり保険会社のプランによっても内容が違い大変複雑なので、何が何だかわからない!という方も多いと思います。
ですが、前もってお近くに点在するUrgent care clinicやERの中でどこが自分の保険のネットワーク内なのかを知っておくだけでも、余計にお金が掛かる事態を避ける事ができますし、何よりいざという時に慌てる事なく迅速な受診へとつながると思います。
なお、仕事や学校を休んで受診した時や数日休まなくてはいけない状況の際は、医師から「◯時から◯時 病気のため受診」「◯◯の病気のため◯日間の自宅待機が必要」といった旨が書かれたExcuse Note(エクスキューズ・ノート)またはDoctor’s Note(ドクターズ・ノート)と呼ばれる書類を発行してもらう事ができます。
特に出欠を重要視する学校では必ず提出を求められるので、忘れずにもらっておく事をおすすめします。
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