現金と小切手?アメリカでの仕事で困ったお金のトラブルとは

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私は現在アメリカで働いていますが、海外では日本で想定できないようなハプニングやトラブルが起こります。仕事に欠かせないお金についてもトラブルの元になります。

日本で取引先への支払いや従業員へ給与の支払いは、現金による口座振込を利用することが一般的ですが、アメリカではチェック(小切手)の利用が多く、最初は非常に戸惑いますし、私はたくさんの失敗を経験しました。

ここでは私がアメリカで実際働いていて起こったお金にまつわるトラブルについて紹介します。

アメリカは現金をほとんど使わない

アメリカの建物

国が変わると、お金事情についても異なります。アメリカでは一般的に多くの現金を持ち歩くことはしません。100ドル(約11,300円、2018年11月レート 1ドル113円)持ち歩いていたら多いほうになるでしょう。

支払いはほとんどがクレジットカードでおこなわれます。現金を持ち歩かない理由の大きな一つにやはり安全対策あります。経済大国のアメリカですが、強盗などの犯罪が多発します。

自分で自分の身を守るためには、現金を持ち歩かず身軽に動くことが大切です。

ビジネスで多用する小切手の仕組み

パソコン

ビジネスでは、クレジットカードを利用したり、現金で支払うこともたまにありますが、多くは、チェック(小切手)での支払いになります。近年では、銀行振込も増えてきていますが、やはり主流はチェックです。

チェックは通常、何も書いていないチェックの束を銀行が発行し会社に郵送します。

このチェックに記入日、支払い先、金額、支払い内容を記入の上、サインをして取引先に郵送します。取引先はチェックを受領したのち、自分の銀行に行き現金化します。

なぜこのような面倒な支払いの文化が根強く残っているかというと、現金を輸送したり、受け渡しをすることが危険なためです。

取引先が現金に換金したり、自分の口座に振り込むにも、通常は銀行に出向いて手続きをおこないますので、盗難したチェックや偽造したチェックの換金なども防止できる仕組みになっています。

給与の支払いで大間違い

ビル

アメリカに赴任したとき、私は海外に住むことも海外で仕事をすることも初めてでした。もちろん、アメリカの支払い方法の常識も知りませんでした。

アメリカに赴任して間もない頃、あるプロジェクトの立ち上げを担当することになりました。銀行口座を開設し、当プロジェクトに関連する従業員のチェックを毎週用意して手渡していました。

当時は、チェックの意味がいまいち分かっていなく、どんどんチェックを切っていたのですが、ある日のこと、私の上司がアメリカの現地経理担当とひそひそと話をしているのです。

どうしたのかなと思っているところ、私が呼び出されて上司から叱られました。

「きちんとチェックを切った金額と、まだ引き落とされていないチェックの残高確認など毎日しているか!従業員の給与のチェックが引き落とされないから、従業員給与が払えていない。

しかも、振り戻し費用を銀行からチャージされて大変なことになっている。今すぐチェックを切り直すように」

とのこと。わたしは何が起こっているのかピンときませんでしたが、後ほど説明を聞き理解できました。

チェックは、従業員の手元に届いて銀行に行って始めて銀行から現金が引き落とされるのですが、いつ現金化されるかは受け取った人次第です。

そのため、銀行口座管理をするには、常にチェックが全て引き落とされたことを想定した残高管理をする必要があります。当時の私はその常識を知らず、当日の額面の銀行残高にて資金管理をしていました。

ある時、大きなチェックが引き落とされたため、一気に銀行残高が限りなくゼロに近くなり、それに重なって従業員の給与チェックも銀行に持ち込まれ、残高超過(オーバードラフト)に陥ってしまったのです。

現地従業員の手助け

アメリカ

正直言って自分で何をすればいいのかわからない状況で途方に暮れていたところ、現地の経理担当者が銀行にすぐ連絡をしてくれました。

事情を説明して他の口座から資金を送金し、従業員向けの給与チェックを再発行し、なんとかその場を収めてくれました。

その時は、自分の英語力も十分でなかったため、自分自身で問題を解決することができず、本当に情けないという気持ちでいっぱいでした。また、従業員にも期日通りに給与を渡すことができず、迷惑をかけてしまいました。

支払いが出来なかった従業員向けのチェックには銀行より手数料を1枚1枚請求されましたので、結構な損失にもなりました。

しかし、その時に現地従業員達が一団となり全面的にサポートをしてくれ、問題解決をしてくれて本当に感謝しかありませんでした。

失敗から学んだこと

会議室

その後の対応

この失敗以降、毎日銀行口座をチェックして、銀行から引き落とされていないチェックの管理をすることに加え、現地従業員との密なコミュニケーションを取ることに気をつけました。

おかげさまでその後に大きな失敗をすることがなく、無事プロジェクトは終了することが出来ました。

日本では、口座振込や現金支払いが一般的なので、銀行残高がゼロにならないように支払いを考えるだけで良かったのですが、アメリカはそれに加え、未換金のチェックの残高管理もおこなうことが大切であることがわかりました。

日本の感覚で仕事をしていて、日本の常識で進めていたことが大きな失敗をしてしまったのです。

困ったら専門家の意見を確認

今回の失敗はどちらかというと、社内で解決できる失敗でしたが、これが例えば裁判沙汰になったりするような失敗であったら、大変であったと今でも不安がよぎります。

アメリカは訴訟大国ですので、ちょっとした日本とアメリカの常識の違いで、大きな訴訟が起こることが多々あります。

また、自分の知識が足りなく誰かからアドバイスを受けたい場合は、弁護士や専門家に確認することも大切だと思います。

まとめ

ビーチ

アメリカは以前に比べ、チェックの利用率が減って、口座振込の比率が増えてきていますが、まだチェックの利用がほとんどです。私のように初歩的な失敗をしないように、アメリカに着任する前に、経済の仕組みを学び直しておきましょう。

今はインターネットで多くの情報がたやすく手に入ります。もちろん、どれだけ信頼のおける情報なのか、自分自身でスクリーニングをかけることをおすすめします。

日本の常識だけで考えるのではなく、常に現地従業員と会話をし、自分の行動が現地の視点から間違った方向に進んでいないか、確認していくことが大切です。

できれば失敗は避けたいですが、失敗をすることで、自分が成長することにもなります。失敗を恐れてなにもしないよりも、常にチャレンジ精神を持って取り組んでいった結果の失敗は自分の糧になります。

ぜひアメリカという夢の国にてチャレンジし、ビジネスを成功してみてください。みなさんの活躍を祈ってます。

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記事を書いた人

アメリカ在住。米国カリフォルニア州サンフランシスコ、英国ロンドン、米国ハワイ州にて経理、財務、総務の仕事経験あり。

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