どの国に住んでも、その国独自の文化や習慣に遭遇します。同じアジアの国といえども、他民族国家のマレーシアにはかなり独特な文化や習慣があり、私たち日本人にとっては、えーっ!と驚くこともたくさんあります。特に、イスラム教の習慣は生活の至るところに関係してくるので、知っておくと役立ちます。
今回は、マレーシアのちょっと変わった文化や習慣をご紹介します。
マレーシアのトイレ文化
マレーシアのちょっと変わったトイレ事情です。
トイレに便座はない?
マレーシアのコタキナバルでは、便座がない洋式トイレをたくさん見ます。もともとないのではなく、壊れてしまったのです。
洋式トイレに慣れない人がまだまだ多く、便座の上に足を乗せて用を足してしまうためです。不安定で怖そうですが……。
便座はあったとしても壊れて割れているか、足あとが付いて汚いので、便座を使わずに用を足すようにしましょう。
紙はない?
日本では公共のトイレでもほとんどトイレットペーパーが付いていますが、コタキナバルではホテル以外、ほとんどの場所で付いていないと思って下さい。
出かける際は、水に流れるティッシュペーパーやトイレットペーパーを持参しましょう。
水が流れない?
トイレの水が流れない場所もかなりあります。入ると大きなバケツに水がためられており、そこにひしゃくのような物が置いてあるのでそれを使うか、バケツを使って流しましょう。
次の方のために水をためておく気遣いもお忘れなく。
謎の蛇口ホース
トイレの便器の横の壁には、謎の蛇口とそれに繋がったホースがあります。
何に使う物かといいますと……マレーシアではイスラム教の人をはじめとして、用を足した後、紙を使わずにホースから出る水を使って洗う人がたくさんいます。そのため、たいていトイレの床は水浸し……。
そのため、外でトイレに入る時は洋服の裾をまくり、洗えるサンダルなどを履いているとよいです。
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マレーシアのノンハラルコーナー
イスラム教徒は、戒律により汚れているとされる豚肉を食べません。またアルコールなども禁じられています。
そのため、マレーシアのスーパーマーケットではどこでも豚肉を買えるわけではなく、売っているとしてもノンハラルコーナーと呼ばれる一角にしかありません。
「ノンハラル」とは、イスラム教で禁じられている食べ物という意味です。
このコーナーにはポークハムやソーセージ、冷凍の豚の挽肉などが売っています。アルコールがこのコーナーにある場合もあります。
スーパーマーケットにはノンハラル専用のレジがある
このコーナーにはここだけのレジがあり、商品を選んだらその場で会計します。決してノンハラルコーナーの商品をメインのレジに持って行ってはいけません。
私はマレーシアに来たばかりのころ、そのルールを知らずに豚肉をカゴに入れ、他の商品と一緒にメインのレジへ持って行ってしまったことがあります。
するとレジ係りの女の子が、キャーッ!と悲鳴を上げて、ものすごく嫌そうに商品の端っこを指でつまみ、袋詰め係りの方に放り投げました。放り投げられた方もキャーッ!と叫び、何事かと他のレジの人が来て、私にノンハラルコーナーで会計して来るよう言いました。
その時はじめて、イスラム教徒は豚肉を食べないだけではなく触らないので、売り場だけではなく会計も別にしていることを知りました。当然ノンハラルコーナーのレジ係りは、イスラム教徒ではない女の子でした。
マレーシアで売っている全ての食品には「ハラルマーク」の取得が義務付けられています。ハラルマークとは、イスラム教の戒律に従って調理、製造されており、イスラム教徒たちが安心して食べられることを示すものです。
マレーシアのホテルの中に謎の矢じるし
マレーシアにはじめて来た時、泊まったホテルの天井に、赤い矢印のテープが貼ってありました。誰かのイタズラだなと思っていたところ、デスクの引き出しの中にも同じ矢印が。よくみるとどちらも同じ方向を指しています。
どういうことか聞いてみると、イスラム教徒がお祈りをするメッカの方向が分かるようになっているとのことでした。
イスラム教徒は日に5回この方角を向いてお祈りをするため、どこにいてもメッカの方角を知る必要があるようです。
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マソックアンギン
マソック=入る、アンギン=空気で、マレー語で空気が入るという意味です。特にマレーシアンチャイニーズが使います。
例えば、「夕方だいたい6時以降はマソックアンギンしてしまうので、頭を洗ってはいけない」というふうに使います。
最初は、空気が入るってどういうこと?こんなに汗かくのに夜シャワーを浴びないの?と何を言っているのかよくわからなかったのですが、どうやらマレーシアンチャイニーズは「気」を信じていて、体調を左右したりするものと考えているようです。
それで夜、気温が下がる時間に頭を洗うと悪い「気」が入り、風邪をひきやすくなる。ということのようです。中国本土から昔に持ち込まれた考え方なのかもしれないのですが、コタキナバルは夕方6時以降も暑いですし、今はヘアドライヤーもあるので、風邪はひきにくいと思うのですが……。
マレーシアンチャイニーズと友達になったら是非聞いてみて下さい。
まとめ
最初は戸惑う文化や習慣も、慣れてくれば日常の風景となり、いつの間にか自分もその中に溶け込んでいきます。「郷に入れば郷に従え」で、それぞれの人の考え方を尊重しつつ、新しいことに挑戦してみましょう。
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