アリゾナ州ナバホ族自治区の首都、ウィンドウ・ロックはこんなところだった!

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私は、ナバホ族自治区の首都、アリゾナ州・ウィンドウ・ロック周辺に住んでいます。

現代のネイティブアメリカンのリアルな生活を、在住日本人がお伝えします(ナバホ族居留地)でもお伝えした通り、ネイティブ・アメリカンは、一般的なアメリカ人との生活とは違った文化、伝統を維持し、彼らが住んでいる居留地も「自治区」扱いなので独自の政治システムを形成しています。

また、彼らの首都であるウィンドウ・ロックは日本どころかアメリカ国内でもほとんど知られていません。知られていないからこそ、観光スポットも人で溢れることもなく、「知る人ぞ知る穴場」として密かにリピートをしている人も多いのです。

アリゾナ州現地のナバホの人々のお墨付き!ウィンドウ・ロックの楽しみ方をお届けします。

Navajo Nation(ナバホ・ネイション)の首都 

Navajo Nation(ナバホ・ネイション)の首都

ウィンドウ・ロックはNavajo・Nation(ナバホ・ネイション)と呼ばれるナバホ族自治区の首都です。首都といっても人口は約3000人、広さも13㎢程度の小さい町です。

また、アリゾナ州というとドライ・ヒート気候で年中暑いイメージがありませんか。

州都・フェニックスはそのイメージでほぼ間違いないですが、ウィンドウ・ロックはアリゾナ州の北方に位置しているので、10月半ばからは急に冷え込み、雪が降ることも珍しくありません

同じアリゾナでも南か北で、夏と冬くらいの温度差になります。

また、ナバホ族をはじめとするネイティブ・アメリカンは、アメリカ合衆国の連邦政府とは別に、独自の国家を形成しており、ナバホ族の大統領選挙もここ、ウィンドウ・ロックで行われます。

アメリカの中に、1つの国があるようなもので、ナバホ族をはじめとするネイティブ・アメリカンは、アメリカ人でありながら、彼らの国の一員でもあるのです。

前述したように、町の規模が小さいので、政府、公共施設、観光施設がほぼ一カ所に集中していて、どこも徒歩圏内です。当然ながら、行きかう人々は9.5割はナバホ族で、お互いに顔見知りであることも珍しくありません。

また、ナバホ・ネイションは、石油、石炭などの化学工業原料が豊富にあるので、エネルギ―産業が経済を支えています。

ハイキングもできる、ウィンドウ・ロックのメモリアル公園

ウィンドウ・ロックのメモリアル公園

ウィンドウ・ロックはナバホ・ネイションの首都名でもありますが、由来はこの独特な地形からです。岩がまるで窓のようにすっぽりと開いている特徴から、ウィンドウ・ロックと名付けられました。

昔は、メディスン・マンと呼ばれるナバホ族のシャーマンが、ここウィンドウ・ロックで、雨を呼び寄せる儀式を執り行っていたそうです。

そしてウィンドウ・ロックは下から見上げるだけでなく、ハイキングが可能です。ウィンドウ・ロックの後ろ側に回る事もできますよ。

コースは極めて易しいです。傾斜もゆるく、道も整えられているので、約40分もあればウィンドウ・ロックの後ろ側に到着します。お年寄りから子供まで、現地の人のエクササイズ・スポットとしても利用されています。

また公園内には、第二次世界大戦時に、アメリカ合衆国の勝利に大きく貢献した、「ナバホ・コード・トーカー」の記念銅像が建てられています。

モニュメント

第二次世界大戦当時、日本軍はアメリカ軍の無線機器による通信内容を見破る事を得意としていましが、「ナバホ・コード・トーカー」は、日本人が誰も知らなかった「ナバホ語」を暗号として使用し、日本軍による戦略の解読を阻止して、アメリカを勝利へと導きました。

日本人とナバホ族の意外な関わりです。ナバホ族をはじめとするネイティブアメリカンは、黒目、黒髪、小麦色の肌、小ぶりな目鼻立ちをしているので、日本人によく似ています。

むしろ親近感を覚える2つの人種は、敵同士として戦った過去があるのです。

基本情報

  • 名称:ウィンドウ・ロック ナバホ族・退役軍人記念公園(Window Rock Tribal Park & Veteran’s Memorial)
  • 住所:Arizona Route 264, Window Rock, AZ 86515
  • アクセス:ギャロップより車で30分
  • 料金:無料
  • 営業時間:24時間
  • URL:http://www.scenicusa.net/

無料ながら本格派のナバホ国立動物園&植物園(Navajo Nation Zoo & Botanical Park)

ウィンドウ・ロックのすぐ近くには、ナバホ動物園があります。大きな動物園ではありませんが、動物が大切に飼育されていて、園内も清潔に管理されています。

コヨーテやエルク等など、アリゾナ固有の動物たちを見ることができて、しかも入場料はなんと無料です!

園内はのんびりしていて、終日、人はほとんどいないので気持ちよく散歩を楽しめます。名前の通り、ボタニカル・ガーデンも併設していますが、動物と比べると植物の管理はいい加減で、手入れはせずに伸び放題といった感じです。

動物は、ナバホ族のシンボルとして大事にされてきた種類が飼育されています。それぞれの動物は意味を持っています。ナバホの宗教の勉強にもなりますね。

  • コヨーテ(キツネ)⇒トラブルメーカー 雨をもたらす使い
  • フクロウ⇒悪い知らせをもたらす使い
  • イーグル⇒勇気と知恵のシンボル

また、この動物園はケガをした動物たちを園内で保護しています。この写真のフクロウは、屋根のない飼育場所で飼育されていますが、羽を失っているので飛ぶことができません。

公園

また、フクロウの他にも怪我をしたイーグルも保護しています。イーグルはアメリカの象徴でもあるので、狩猟は禁止されていますが、それでも密漁が後を絶たないそうです。

ナバホ動物園は無料ながら、一般の動物園ではなかなか見ることができない動物を見ることができます。動物は寝ていることが多いですが、それもナバホ動物園らしくて癒されますよ。

基本情報

  • 名称:ナバホ国立動物園&植物園(Navajo Nation Zoo & Botanical Park)
  • 住所:34 AZ-264, Window Rock, AZ 86515
  • アクセス:ギャロップより車で30分
  • 料金: 無料
  • 営業時間:10:00~16:30
  • 電話番号:1-928-871-6574
  • URL:http://www.navajozoo.org/Services.htm

日曜日の朝はフリー・マーケットで盛り上がる

フリー・マーケット

毎週日曜日の朝は、ウィンドウ・ロックの中心地の広場でフリー・マーケットが開催されます。ネイティブアメリカンのブランケット、ジュエリーを安く購入することができるので、観光客にも人気スポットです。

だれでも出店できるので、商売として工芸品を売る人もいれば、蓋がないタンブラーや、焦げたフライパンなど家庭で不要になったガラクタを売る人もいて、かなり自由度が高いです。

しかもガラクタにも2ドル~3ドルほどの値段を付けます。日本人のように、「きれいな状態で売らないと失礼」という意識はなく、雑然と置かれ、「売れたらラッキー」程度の手軽さです。

一方で洗練されたハンドメイドの天然石ジュエリーを売っている人もいるので、思いがけない素敵な宝物と出会えるかもしれません。会話がはずめば値引きをしてくれる方も多いですよ。

屋台もよく出ていて、ネイティブ・アメリカンの郷土料理であるフライ・ブレッド、ナバホ・シチューなどを楽しむことができます。

基本情報

  • 名称:チホッツォ・インディアン・マーケット・プレイス(Ch’ihootso Indian Market Place)
  • 住所 : AZ-264, Window Rock, AZ 86515
  • 料金:無料
  • アクセス:ギャロップより車で30分
  • 営業時間:8:30~16:00

見どころいっぱいのフェア

お祭り

9月の1週目や独立記念日の前後には、ウィンドウ・ロック最大のフェアが開催されます。普段は閑散としているウィンドウ・ロックも地元内外から観光客が訪れるのでとても賑やかになります。

そしてフェアが開催される度に、カーニバルと呼ばれる移動式遊園地が招致されるので、ろくに遊ぶ場所がないウィンドウ・ロックに住む子供たちは大喜びです。

フェアの1日の流れ

午前中:パレードが開催

パレードはネイティブ・アメリカンのダンサーや、各部族の中から選ばれたプリンセス、退役軍人、ウィンドウ・ロックの地元企業が、それぞれ所有するトラックや車を、パレード仕様に派手にデコレーションして、その乗り物を運転しながら街頭の人々に手を振ります。

そしてナバホ族議会の選挙候補者たちもパレードを利用し、選挙のアピールに乗り出します。

パレードの順番は、ダンサーが来たと思えば、次は選挙候補者、その後ろには地元のスーパーのトラック……と、まるで統一感がなく、パレード中もそれぞれのグループが勝手に止まったりするので、スムーズに進みません。

至る所に運営上のいい加減さが表れていますが、それもウィンドウ・ロックらしくて味があります。

正午:カーニバルが開場

子どもに大人気、カーニバルが12時前後にオープンします。遊園地には、メリー・ゴーラウンドやゴー・カート等、子供が大好きなアトラクションがたくさん設置され、屋台もアメリカの定番スナックであふれています。

人気の商品は以下の通り。

  • レモネード⇒日本のお祭りのかき氷のようなもので、フェアがあるところでは必ず売られています。味はかなり甘いです。
  • ターキー・レッグ⇒七面鳥の足のドラムスティックです。とにかく大きくて普通のフライドチキンの5倍あります。値段は1本10ドル(1,130円)です。フライドチキンの値段の10倍です。味はあっさりしていておいしいですよ。
  • カーリー・フライ⇒くるくるとカールしたフライド・ポテトです。とにかく量が多いです。

どれも、カーニバル・プライスで高いですが、お祭り気分を味わいたいのでつい買ってしまいます。

夕方:ロデオが開始

前回の記事でもおすすめした通り、ナバホ族の皆さんから大人気のロデオがスタートします。

世界各国のプロが集まる「プロ・ロデオ」、ネイティブアメリカンのみが出場できる「インディアン・ロデオ」の二種類ありますが、盛り上がりと騎手の質は断然「プロ・ロデオ」が上です。

ロデオには、難易度が高い2つの種目があります。

  1. 逃げる子牛を2人のカウ・ボーイがロープで捕まえるチーム・ローピング
  2. 暴れる雄牛の背中に乗り、片手で手綱を掴んで8秒間乗り続けるブル・ライディング

インディアン・ロデオでは上記2つの難関種目で成功するカウ・ボーイはほとんどいません。

ですがプロ・ロデオのカウ・ボーイ達は、巧みな馬術とロープ使いで子牛を難なく捕まえ、牛の動きを読み、体幹を駆使して荒牛に乗り続けます。そのかっこよさに会場は大盛り上がりなのです!

夜遅くからコンサート開始

ロデオが終了した後は、同じ会場でコンサートが開催されます。ロック、メタル、カントリーからクリスチャン・バンドまで様々です。

毎回プロのバンドが招致され、人気のバンドが演奏するときには、5,000人近くの観客が集まることもあります。

コンサートは夜の22時からスタートして、深夜に終了することも珍しくありません。夜は人気がなく、静かなウィンドウ・ロックが、人で溢れてバンド演奏の爆音の中で盛り上がっている光景は、別の町にいるような気分になったものです。

このように、朝から夜遅くまで催し物が満載です。

基本情報

  • 名称:ナバホ・ネイション・フェア(Navajo Nation Fair)
  • 住所 : AZ-264, St Michaels, AZ 86511
  • 料金:カーニバル入場は無料  ロデオ&コンサートは13~25ドル ※内容により変動
  • 電話番号:1-928-871-6471
  • URL:http://navajopeople.org/

ウィンドウ・ロック唯一のホテル

食べ物

ド田舎、ウィンドウ・ロックにも、ホテルが1件あります。「クオリティ・イン・ナバホ・ネイション・キャピタル」というホテルです。

クオリティ・インは全米中にあるチェーン店ですが、ナバホ・ネイション・インは、内設されているレストランで、ナバホ族の郷土料理を食べることができます。

タコスの具材をフライ・ブレッドと呼ばれる油で揚げたトルティーヤの上に乗せたナバホ・タコや、羊肉をふんだんに使用したナバホ・シチューをレストランで食べることができますし、ナバホ族に人気のラム、マトン料理も楽しむことができますよ。

ちなみに、ナバホ・タコを注文するときには、「フライ・ブレッドをクリスピーに揚げて」とウェイターにお願いしてみてください。そうするとサクサクでおいしいナバホ・タコを提供してくれます。

基本情報

  • 名称:クオリティ・イン・ナバホ・ネイション・キャピタル(Quality Inn Navajo Nation Capital)
  • アクセス:ギャロップより車で30分
  • 料金:70~150ドル ※シーズンにより異なります。フェア開催期間は高騰します。
  • 住所:48 West Highway #264, Window Rock, AZ 86515
  • 電話番号:1-928-871-4108
  • URL:https://www.choicehotels.com

まとめ

公園

ウィンドウ・ロックは、美しい景色とナバホ族独特のイベントを楽しむことができる素敵な場所です。

一方で役所や公共サービスなどの仕事は早いとは言えませんし、営業時間内でも閉まっていることがしばしばあります。

日本企業に勤めていて、仕事は締切厳守、顧客の満足度を追求して働いてきた私は、全てが日本と真逆の対応に、正直最初はかなりストレスを感じました。

しかし、「郷に入っては郷に従え」と自分に言い聞かせ、いい加減な対応にも慣れて忍耐力がついてきました。

しかも、どこを切り取っても絵葉書のように美しい景色、独特のフェア、少しシャイですが人懐っこい人々を見ていると愛着が感じられるようになりました。

都会の喧噪に疲れた皆様、サービス精神はそこそこですが、ありのままのウィンドウロックに癒されにきてください。

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記事を書いた人

日本の大学を2年休学してお金を貯め、大学4年次に米国大学留学を経験(当時24歳)
大学卒業後は一般企業にて4年間通訳と翻訳に従事
その後、留学時代に出会ったアメリカ人の夫と結婚し、現在は米国アリゾナ州在住
時々フリーランスとして翻訳業をする傍ら、夫と猫と楽しく暮らしています。
趣味は、読書、絵を描くこと、料理、ハイキング等、どれも広く浅く楽しんでいます。

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