アイルランドの魅力は緑の豊かさと独特のルーツをもつケルト文化がいまだ感じられる美しい街の雰囲気ではないでしょうか。
別名「妖精の国」と呼ばれるほど、妖精の存在を身近に感じながら暮らしている人が多くいます。また、ギネスビール発祥の地でもあることから街中にはパブがたくさんあり、アイルランドのパブではイギリスのような階級の壁を感じることが少なく、地元の人と打ち解けて仲良くなれます。
今回はアイルランドに移住する方法をご紹介します。
記事の目次
アイルランド移住のメリット
治安
アイルランドは他のヨーロッパ諸国と比較すると治安の良い国と言えます。ただ、良いといっても日本やシンガポールと比べるとやはり劣りますので、外国にいる自覚をしっかり持つようにしましょう。
- 多額の現金を人目に付くところで出さない
- 荷物からは目を離さない
など一般的な注意事項に気を配っていれば安全に過ごせます。
また、諸外国と同じように治安の良いエリア・良くないエリアが分かれていますので、特に女性は治安の悪い場所には近づかず、夜間の独り歩きはしないようにしましょう。
教育環境
アイルランドはトリニティ・カレッジ・ダブリンなどの有名大学もあるなど、教育に力を入れている国です。
アイルランドには日本人を含めたアジア系の学生が少ない傾向がありますので、日本人同士のコミュニティに閉じこもって英語を話さなくなってしまうという、留学の悪い面に陥る心配が少ないといえます。
アイルランドは英語学習のサポート体制が充実しており、英語力が不足している学生に向けたファウンデーション・プログラムを多くの大学で提供しています。
気候
アイルランドの緯度は北海道より高いので、大雪が降り寒さが厳しいところのように思われがちですが、近くの海に暖流が流れ込む関係で冬でもそこまで厳しい冷え込みにはならず、雪もそんなに積もりません。
冬の平均気温は最高気温が7度、最低気温が2度と東京よりは若干寒い程度です。
また、夏の最高気温が20度を超えることがないので1年を通して気温の差が日本よりも少なく、穏やかで過ごしやすいと言えます。
ただ、アイルランドの天気は「一日の中に四季がある」と言われるほど変わりやすく、晴れていたのに突然の雨や土砂降りに見舞われることがあります。
アイルランド移住のデメリット
都会的ではない
アイルランドの街はとてもコンパクトで豊かな自然が身近にあります。
のんびりした場所が好きな方にはとても合うと思いますが、反対に都会的な刺激が欲しいという場合には遊ぶところがなくて物足りないと感じる方もいるでしょう。
ショッピングモールはありますが規模は小さめで品揃えもそんなに豊富ではないので、日本人から見ると少し退屈に感じてしまうかもしれません。
街中には緑豊かな公園がたくさんありますので、休日には公園でゆったりと時間を過ごしている人が多くみられます。
日本製品や日本食は手に入りづらい
アイルランドにはアジア系の住民がそんなに多くないので、日本製品や日本食は手に入りづらい環境です。
日本食レストランは一応ありますが、スーパーには日本の食材はほとんど置かれていないので日常の食事はどうしても現地の生活に合わせることになります。
アイルランドの主食は米やパンではなくジャガイモで、味付けも日本のようにバリエーションが豊富ではないので、それを苦痛に思われる方もいるようです。
日本食が頻繁に食べられないと辛いという方はあらかじめインスタントの食品をたくさん持って行ったり、日本から送ってもらう準備を整えてから行った方が良いでしょう。
アイルランド移住する方法
長期留学生として移住
90日を超える留学には学生ビザが必要になります。
語学学校への留学には特に制限はありませんが、大学に入りたい場合にはIELTS5.0~6.0程度の英語力が必要とされています。
ただ、英語力の足りない学生に向けてファウンデーションコースという基礎コースを設けている大学もありますので、自分の英語力と入りたい大学を照らし合わせて調べ見ると良いでしょう。
また、ビザの手続きそのものは入国後になりますが、学校からの入学許可は入国前に取っていかないと空港でトラブルになるおそれがありますので、入る学校をしっかりと決めて準備をしてから行くようにしましょう。
アイルランド人と結婚して移住
アイルランド人と結婚した場合は、Stamp4と呼ばれる種類の配偶者ビザを申請することができます。
アイルランド方式の結婚は少し複雑です。
結婚の3か月前から告示を出して異議申し立てを受け付けなければならないことや、教会婚でも民事婚でも結婚式が必要となります。
日本人とアイルランド人との結婚の場合は先に日本で結婚手続きを済ませてからアイルランド側に届けて結婚証明書をもらう方が手続きが煩雑にならずに済みます。
アイルランドに入国後に、Registry officeで発行された結婚証明書と住所を確認できるものを持って外国人登録局で手続きをします。
投資ビザを取得して移住
アイルランドには居住権付きの投資プログラムがあります。
4種類の投資プログラムの中から1つ選び、決められた投資額を3年から5年継続することにより5年間の更新可能な居住権付ビザを取得できます。
もっとも投資金額が少ないものが、アイルランドの芸術文化スポーツ等の振興に関連する団体に寄付をするものです。
50万ユーロ(約6,500万円)とかなり高額になっており、他の投資プログラムは更に大きな投資が必要とされますので、難度は高めであるといえるのではないでしょうか。
就職して移住
アイルランドで働くためには就労ビザが必要で、日本で前もって申請することが一般的です。
駐在の場合には特に資格や能力に大きなハードルはありませんが、現地採用の場合にはEU圏内の全ての人と競わなければならないので、IELTSで5.0~6.0以上の英語力や専門性など高いスキルが要求されます。
また、日本人を雇用しようとしている会社が国が指定する職業リストの中に入っていなければならず、年収の目安として説明すると、年間3万ユーロ(約390万円)以上の給与があることも必要です。
アイルランド移住の生活費
1ヶ月の生活費、物価など
会社や学校の多さから首都ダブリンに住むケースが多いとして計算してみると、全体的な物価は東京よりも安いと思います。
歯磨き粉やシャンプーなどの日用雑貨は価格はどれも800円以内で買うことができても品質や品揃えはあまり豊富ではありません。
トイレットペーパーは9ロール入りで600円くらいですが、紙の質が悪いため、使い心地と併せて考えると割高に感じられるかもしれません。
また、家賃はスタジオタイプ(ワンルーム)で約15万円からと、東京よりも高くなっています。
ただ、独身の場合はシェアハウスに住むことは外国では一般的ですので、一人暮らしにこだわらなければ家賃も安く抑えられるでしょう。
アイルランド移住に必要なビザ
ビザの種類
日本人がアイルランド人と結婚せずに取得できるビザは学生ビザか労働ビザになるでしょう。
学生ビザは90日以上居住をする者について必要で、90日未満の短期留学の場合は観光ビザ(日本人はビザ免除)で滞在できます。
労働ビザも駐在員用のビザと現地採用の就労ビザに分かれていますが、現地採用を勝ち取るためには、その人の能力がどうしても必要であるという証明や他のEU圏の人と競えるような語学力や専門性が必要です。
取得条件
学生ビザ
学生ビザの場合には、語学学校には特別な条件はありませんが、大学への入学にはIELTS5.0~6.0程度の英語力が必要です。
ただし、英語力が足りない場合でも学校によっては英語の基礎を教えてくれるコースを設けていたりします。
就労ビザ
就労ビザの場合には、ビザを申請する本人の能力が、余人をもって代えがたいという証明を会社にしてもらう必要があります。
また、英語力については明確な規定はありませんが、アイルランドでは英語は公用語ですので、英語ができることはアピールポイントにはなりません。
英語ができることは当然としてプラスアルファの専門スキルがあることが求められます。
アイルランド移住に必要な英語力
英語力
アイルランドでは英語が公用語ですので、生活していく上で英語力は必須と言えるでしょう。大学入学にはIELTSのスコアが必須ですし、就職では英語が話せることが当然とみなされます。
アイルランド人の英語には独特の訛りがあり、口の中で籠ったように聞こえる上に早口なので、アメリカやカナダへの居住経験がある人でも最初は聴き取れないと感じるかもしれません。
また、日本の学校で教えているのはアメリカ英語なので、イギリス英語の単語や言い回しに戸惑うこともあるでしょう。
日本人は観光ビザが免除されていますので、短期の語学留学でまず体験してみると生活習慣や雰囲気が自分に合いそうか分かるのではないでしょうか。
アイルランド 移住の初期費用
金額 | |
航空券 | 7万円台〜 |
ビザ申請費用 |
|
家賃 | 6万円台〜 |
光熱費 | 8,000円ほど |
アイルランドへの航空券は往復で7万円台から買えます。
ビザの申請費用は就労ビザで1,000ユーロ(約135,000円、6~24ヵ月間の場合)、学生ビザで300ユーロ(約39,000円)となっています。
就労ビザの方はこれから働くことが前提となっているので問題はありませんが、学生ビザで留学をされる方は、ビザの申請費用や航空券代の他に、3,000ユーロ(約40万円程度)の資金が銀行口座にあることの証明が必要です。
家賃は独身の場合はシェアハウスに抵抗がなければ6万円台から、光熱費もシェアメイトと割ると8,000円ほどと、日本での一人暮らしと同じくらいを想定しておけば大丈夫だと思います。
アイルランド 移住で住みやすい都市
ダブリン
首都ダブリンにはアイルランドの全人口の3割が住んでおり、外国からの移住者も多く賑わいのある街です。
クライストチャーチ大聖堂やダブリン城などの中世の建物と近代的なビルがどちらも存在して調和をとっており、本場のギネスビールが飲めるパブもたくさんあります。
また、GoogleやFacebook、Amazon他、多くの超有名企業の欧州本社がダブリンにあり、ワーホリの人でも応募できるような求人が出ることもあります。
コーク
コークはアイルランド第2の都市で、ダブリンから南に車で2時間ほどの位置にあります。
アイルランドの中でも比較的温かい場所なので過ごしやすく、国際線空港も近くです。
新鮮な肉や魚介類、焼きたてのパンなどが買えるイングリッシュ・マーケットという毎日開かれている市場は、17世紀から続いている大変歴史の長いものです。
コークは小ぢんまりとしていてアクティブに遊ぶ場所というものは少ないかもしれませんが、アイルランドのローカルの雰囲気の中で生活したいという人にはぴったりだと思います。
また日本人が少ないので、完全に英語だけで生活することにチャレンジしてみたいと考えている人にもおすすめです。
ゴールウェイ
ゴールウェイは日本ではあまり馴染みのない都市ですが、映画「ハリー・ポッター」シリーズの舞台になったモハーの断崖やコネマラ国立公園などの自然が豊かでアイルランドでは人気の街です。
アイルランドのかつての言語、ゲール語を今でも日常的に使う人が多いなど伝統を大切にしている一方、アイルランド国立大学のキャンパスがあることから学生が多く活気があります。
多くの景勝地があり夏を中心に多くの観光客が訪れるため、ホスピタリティー系の産業も盛んです。
アイルランド移住前にすべきこと
手続き
学生ビザの場合は入学許可証、就労ビザの場合には労働許可証をしっかり取っておきましょう。
その他に必要とされる履歴書や大学の卒業証明書などの書類をそろえることと並行して、日本から海外に転出するための手続きも行わなければなりません。
特に就職など、日本に住民票を置かずに完全に移住する場合には、国民年金をやめるのか、海外でも払い続けるのかを決定して処理をすることが必要です。
今はいろいろな書類がオンラインで取り寄せ可能となっていますが、中には原本でなければいけないと規定されているものもあります。
遠いアイルランドに渡ってから必要書類が足りずに慌てることのないように何重にもチェックしましょう。
アイルランド移住で注意すべきこと
イギリスと混同しない
地理的な近さや同じ英語圏の国であるということから、日本人の中にはイギリスと混同したり、文化的に同じ仲間であると誤解する人がいます。
アイルランドとイギリスはその成り立ちや戦争を繰り返してきた歴史、北アイルランド問題が未だ未解決であることなどから、実は非常にデリケートな間柄です。
アイルランドには独自の言語と文化があり、アイルランド人はそのことにとても誇りを持っていますので、イギリスと同じ括りという感覚で話してはいけません。
イギリスとの比較も失礼にあたりますので、避けた方が賢明でしょう。
常に注意を払う
ヨーロッパの中では比較的安全とはいえ、スリや置き引きに遭う危険は常にあると思っていた方がよいでしょう。
バッグは体の前で持つようにして、夜は一人で出歩かないことが大切です。
また、異国にいると色々と探検してみたくなる好奇心が湧いてきますが、裏通りや細い道に一人で入り込んでしまうのは危険です。
日本人は街の中心部や観光地以外にはあまり行かないと思いますが、郊外の、特に公営住宅が集まっているエリアには失業者が多くドラッグの売買なども行われています。
自分の生活エリアから出る時には日本よりも注意が必要だということを忘れないようにしましょう。
アイルランド人は大雑把
アイルランド人は日本人よりもおおらかですが、悪く言えば大雑把なところがあります。
待ち合わせの時間に来ないことはほぼ当たり前ですし、ドタキャンされることも頻繁にありますが、それはその人の性格に問題があるのだと非難するのではなく、文化の一部として受け止めることが必要です。
バスや電車が時間通りに来ないことも普通にあることですし、事前の約束事を守ることが日本人よりも苦手な面があります。
ただ、アイルランド人は誉め言葉に対して謙遜したり本音と建前を使い分けるなど、日本人と共通する部分もあるのです。
文化の違いを受け入れられることが移住に成功する秘訣ではないでしょうか。
アイルランド移住体験談
アイルランドの好きなところはまず、緑の多さです。
雨が多く天気が安定しないことに最初はイライラしましたが、その雨に育まれた木々の豊かさと歴史を感じさせる古い建物があいまって美しい光景を生み出しています。
筆者は静かな生活を好むタイプなので、アイルランドののんびりした雰囲気がとても合っていると思います。
ですが、都会的な刺激が必要という方には退屈なところなのかもしれません。
アイルランドの物価はそんなに高くなく、そんなにきっちり節約をしなくても食費がかかりすぎるということもありませんが、家賃だけは高騰しています。
これから移住をされる方は、独身の方でしたらシェアハウスも選択肢の一つとして検討しても良いかもしれません。
海外求人
あなたの挑戦を待っている!あこがれの海外企業へ就職しよう(海外求人)