昨今のテレビ番組では、世界で活躍する日本人の特集が増えていますね。2020年の東京五輪に向け、日本のグローバル化はますます加速していくことでしょう。
そうした中、私もホテルのマネージャーとして海外転職を成功させることができました。転職先は東南アジアの中でも可能性を秘めた国「カンボジア」。
英語もできない、ホテルで働いたこともない私が、どうやって30人を率いる海外ホテルのマネージャーになることができたのか、こっそり教えちゃいます。
カンボジアのホテル事情
海外観光スポットとして変わらぬ人気を誇るカンボジアのアンコールワット。年間を通して、日本はもちろんのこと世界中から旅行客が絶えず、現在も多くの人を引きつけています。
そんなアンコールワットがあるシェムリアップという街には、多くの観光客を受け入れるためのホテルがたくさん立っています。
ゲストハウスなども合わせるとその数は500軒を超え、バックパッカー向けのドミトリーから5つ星ホテルまで、予算や宿泊日数に応じて好みの宿泊先を選べます。
快適でリーズナブルな中級ホテルが人気
カンボジアの年間の平均気温は30度くらいですが、シェムリアップには海がないため、プール付きのリーズナブルな3つ星ホテルの人気が特に高い傾向にあります。
雨季のローシーズンであれば、部屋タイプや時期にもよりますが15ドルくらいから宿泊が可能で、ドライヤーやアメニティ、タオルなどももちろん用意されているため、快適に過ごすことができます。
また、日本人は英語を話せないことを不安に思う方が多いので、日本語に対応できるスタッフが常駐していることが宿泊先の決め手になることも多いようです。
カンボジアのホテルで働くには
このように、多くの観光客が訪れるシェムリアップのホテルではたくさんのスタッフが働いています。
ハウスキーピングやサービススタッフは月給100ドル前後のことがほとんどで、外国語ができるカンボジア人はより給料の高いレセプションのポジションにつくことが多いです。彼らは3カ国語、もしくは4カ国語を操れることもザラなので、そのような面では日本人はなかなか太刀打ちできないですよね。
そのため、私たち日本人が仕事で求められる役割は彼らでは埋められない部分、すなわち日本人ならではの細やかな気遣いができること、正しい日本語を使いお客様のフォローや対応を行うこと、カンボジア人とコミュニケーションを取りお客様の要望を伝えることとなります。
条件に当てはまれば英語ができなくてもOK
私は英語は全くできなかったので「英語力不問」「海外転職」という条件でネットで毎日探したところ、日本人経営のホテルで日本人対応を行うポジションが空いていたため、すかさず応募しました。
10年近く接客業をしていたため、日本人ならではのおもてなしをすることができることを強みとしてアピール、スカイプで面談を重ね、運良く1社目で採用されました。
また、就労ビザの取得が比較的容易だと聞いていた「カンボジア」「ミャンマー」「ベトナム」に照準を合わせて転職活動を行ったことも、スムーズに決めることができた理由だと思います。
カンボジアのホテルで働くメリット
言葉が身についた
今となっては、英語とクメール語が自然と身についたことが一番のメリットだと感じています。
ホテルには30人ほどのカンボジア人が働いていて、施設のトラブルから人間関係のイザコザまで、とにかく毎日絶え間なく何かが起こります。必要な時には誰かしらに通訳に入ってもらっていましたが、効率が悪いのと自分で話した方が早いことから、勝手に言語は覚えました。
スタッフとの距離が近い
それだけの人数なので大変なことも多いのですが、毎日にぎやかで、困った時にはみんなで協力し合うことができる環境は心強かったです。距離感も近かったため、みんなでスタッフの村に遊びに行ったり厄払いをしたりするなど、旅行ではできない体験をたくさんすることができました。
日本人の口に合うまかない料理
毎日のホテルのまかないも楽しみのひとつでした。ロックラック(牛肉の炒めもの)やバーベキューの日はテンションも上がります。カンボジア料理には味の素が使われており、醤油やオイスターソースなど食べ慣れている調味料が多くあるため、日本人の口によく合います。
とはいえ毎日好物が出るわけではないので、ナマズやカエルの日はおとなしくカップラーメンを食べていました。
無料でマッサージしてもらえる
ホテルといってもオフィスにいることがほとんどだったので、デスクワークをしていると疲れがたまります。そんなときには仲の良いスパスタッフにタダでクメールマッサージやオイルマッサージをしてもらえたことも、働いていて良かった点です。
いざという時には職場に避難
停電がよく起こるカンボジアでは、自宅の電気や水道が使えなくなることも多かったのですが、ジェネレーター(発電機)がある勤務先のホテルに避難することができたことが一番助かりました。
カンボジアのホテルで働くデメリット
小学生のようなカンボジア人スタッフにストレス
真面目に働いてくれるカンボジア人スタッフももちろんいますが、ちょっと目を離すとyoutubeを見ていたり、ハンモックで寝ていたり、レセプションでグリーンマンゴーをほおばっていたりと、落ち着きのない小学生のような人が大半です。
見かねて注意すると、逆ギレされたり突然仕事に来なくなったりします。噂話も大好きなので、根も葉もない話に尾ひれをつけてネタにするなんていうこともしばしば。最初はこのような環境をすごくストレスに感じましたが、カンボジアで生活する以上、ある程度は妥協するようになりました。
あり得ない給料交渉に時間を取られる
マネージャーという立場上、仕方ないのですが、給料交渉が苦痛でした。30人もいれば毎日誰かしらが給料交渉に来ますが、いきなり50ドル上げてほしいなどと平気で言ってきます。
相手にしなければ話を聞いてくれないと不満が出るため自分の仕事が滞り、時間がいくらあっても足りませんでした。
要領をつかむまでは深夜0時を過ぎることもよくありましたが、残業代は出ない現地企業だったので、最初のうちは「報われないなぁ」とむなしくなることもよくありました。
施設の修繕で利益が出ない時期も
勤務先のホテルは築10年くらいなんですが老朽化が目立っていたので、修繕費が1ヶ月に500ドル近くかかることもよくありました。雨漏りはもちろん、外壁のはがれや電球切れなどもしょっちゅうです。出費がかさみ、利益がなかなか出ない時期は大変でした。
カンボジアでの出会いが自信やポジティブさにつながった
仕事では主に日本からの問い合わせ対応と現地の予約手配を行っていたのですが、一生の思い出に残るカンボジア旅行のお手伝いをできたことはやりがいと自信につながりました。
自社ツアーを行っていたのですが、カンボジアに魅せられてまた来たい!とリピーターになってくださったり、楽しすぎて帰りたくないと泣いてくださったり、ただの旅行ではなく特別な思い出になっている方が多いように思います。
実際に、私も帰国してから宿泊してくださったお客様に会いに行きました。ご縁を大切にしたくなる出会いがカンボジアにはたくさんあります。
カンボジアへ来た意味が分かった
以前、宿泊してくださったお客様でオーラが見える方がいらっしゃったのですが、その方曰くカンボジアは魂が原点に還る場所なんだそうです。自分が本当にやりたいことを見つけられる場所だと教えていただいて、「カンボジアへ来たのは偶然ではなく必然なんだ」と前向きになれました。
カンボジアでのホテルの仕事でよくあるトラブル
先にも触れましたが、カンボジアはタイやベトナムからの電気の供給が非常に不安定なため、停電になることがしょっちゅうです。停電の際にはジェネレーターと呼ばれる発電機を使うのですが、このガソリン代が大体3時間で約20ドルと非常に高いです。ネットやエアコン、冷蔵庫などが使えなくなってしまうので、お客様がいてもいなくても大変でした。
また、停電が夜中に起こることも多く、管理職だった私の電話は夜中だろうと休みだろうととにかく鳴りまくりでした(ある程度高い買い物には了承が必要なため仕方ないんですが……)。
夜中の停電は復旧するのを待つのみ
もし夜中に停電になってしまった場合にはガソリンを売っている店が閉まっているため、ひたすら復旧するのを待つしかありません。そんなときはお客様のもとへ懐中電灯やキャンドル、まだ溶けていない氷やぬるくなっていないお水などを持って謝りに回ります。
ただ、停電の際にはホテル全体が大量のキャンドルの灯火に包まれるため、すごく幻想的な時間でもありました。
カンボジアで働くために必要な能力
日本のように丁寧に研修をして、大切に育てて、という文化はないので、周りに甘えずなんでも自分でやりきるというバイタリティが必要だと思います。カンボジア人の文化や習慣を知ろうとしたり積極的に関わったりしていける人は、うまく仕事で立ち回ることができます。
あとは日本の基準を押し付けすぎず、流されすぎないこと。そして人を信用しすぎず、進捗をまめに確認し管理する力が必要です。
日本人だからこその真面目さや責任感が求められる
以前「カンボジアだからゆるいだろう」とカンボジアに来て、2週間で帰国した日本人がいました。
確かにカンボジア人はゆるくて陽気で、ここでは時間の流れがゆっくりですが、企業が求めているのは日本で働いていた経験、すなわち丁寧さや真面目さ、スピード感です。カンボジア人と同じゆるさで働くなら、わざわざ高い給料を払って日本人を採る必要ってないんですよね。
日本にいるより成長のスピードが速い
現地で尊敬している経営者の方に、「海外での1年は日本での3年に相当する。強くなるレベルが違う」と言っていただいたときに、大変なことがあっても自分を大きくするチャンスだと捉えることができるようになりました。
受け身な人は向いていませんが、上昇志向が強い人にとってこんなに自分自身を高められる場所は他にないと思います。
まとめ~英語に自信がなくてもチャレンジを
海外で必要とされるのは、日本の企業の一員として真面目に働いていた経験です。英語ができないからという理由で、最初から海外転職をあきらめる必要はありません。
もちろん、求められる言語力は職種やポジションによって変わりますが、まずは勇気を出して一歩踏み出すことができれば、その先に道は必ず続いていきます。
自分だけの生き方を模索しに、ぜひ日本を飛び出してみてください。海外での経験はあなたの人間力を高め、より大きなチャンスをつかませてくれるはずですよ。
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