海外で自分らしく生きようとする人に贈る5つの言葉。ドイツで私を支えてくれた考え方とは

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私は高校・大学時代に1回ずつアメリカへ留学し、その後約4年半に渡り日本で教育関係の仕事に携わってきました。その中で一番大切にしてきたことが「自分らしく生きる」ということです。

この壮大なテーマに挑むと決め、これまでの人生を整理して今後の方向性を考えるための時間的余裕と文化的刺激を求めてドイツへ渡り、8か月が経過しました。

そして最近ようやく、道しるべとなる光を見つけることができました。その過程で出会った大切な言葉(考え方)を紹介します。

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「つまずくのは挑戦している証拠」

階段

「〇〇になりたい」「▲▲がしたい」

そんな夢や希望を持って日本を飛び出し外国の地へ渡った人なら誰でも「こんなはずじゃなかった」と感じることがあるのではないでしょうか?

辛いことが多かったアメリカ留学時代

私もアメリカに留学していた頃、幾度となくつまずきました。友達ができない、ホストファミリーとの距離の取り方が分からない、話題についていけない、言いたいことが言えない、論文が書けない、等々。

しかも、やっとの思いで困難を乗り越えたと思ったら、またすぐに物事がうまく運ばなくなる。

こんな辛い出来事が1度や2度ではなく何回も繰り返され、「私にはやっぱり向いていないのかな?」「何のためにここにいるんだろう」と思い悩んだことも数知れず。

そして実は、ドイツに来てからも大きくつまずきました。ことの発端は、文化でも言葉でもなく、まさかの住居問題でした。

着いた途端、部屋探しに追われる

日本にいる間にインターネットであらかじめ長期で借りる家を押さえてから渡航したのですが、渡独後すぐにその家には1か月半しか住めないことが判明したのです。

また、当初は可能と言われていた住民登録も結局できず、住民登録証明書が必要な銀行口座の開設やVolkshochschule(市民大学)でのドイツ語のクラスの受講ができなくなってしまいました。

この時点では、ショックでしたが仕方のないことと割り切って、次の住居を探し始めました。

しかし、ちょうど新年度が始まったばかりという時期だったので、ただでさえ住宅不足のベルリンで物件を探すのは困難を極めていたのです。

少ない物件を見つけては見学に行くものの、他に10人くらい希望者がいるような状況でした。

好条件の紹介物件は詐欺だった

「家を探しています」という告知文をウェブに掲載していたところ、1通のスカウトメールが届きました。

好条件だったので、喜んでメールでのやり取りを進めていたのですが、最後の段階になって様子がおかしいことに気づきます。なんと詐欺物件だったのです。

幸いにも金銭的な被害には遭いませんでしたが、退去まで残り1週間になっても次の住まいが決まっていない不安は残ったままです(ちなみに詐欺メールはこの他にも2件ありました)。

精神的にも焦っていたので、やむなく手数料が高いことで有名な紹介エージェントを利用することにしました。

明日住む家がない!避難生活のスタート

なんとか希望日から住むことができる部屋を持っている大家さんを紹介していただいたのですが、なんとその大家さんとも途中から連絡がつかなくなってしまい、「明日住む家がない」というところまで追い詰められました

結局、退去日までに次の住処は決まらず、とりあえず2週間だけならという条件で泊めていただけるお家へ避難することに。

ただ、このお宅は住環境があまり良くなく、体調を崩してしまいました。そのため、通い始めたばかりの私立の語学学校にもしばらく行けず、ようやく復帰した際には全くついていけない状態でした。

「選ばれる人」になるための重圧

このような事情が重なり心身ともに疲れ果てていましたが、そんな中でも家探しをするしかありません。

誰の言うことも信用できない精神状態の中、大家さん(貸し主)から「選ばれる人」にならなければいけないというプレッシャーに押しつぶされそうになり、「もう全部諦めて帰国しようかな」と思い至るまでになってしまいました。

ドイツに来て2か月半が経っていたのにも関わらず、全く前に進めている実感が持てなかったのです。

知人の言葉に救われる

そんな時に、別の国に留学中の知人がかけてくれたのが「つまずくのは挑戦している証拠」という言葉でした。

確かに、ドイツ生活に挑戦しなければ、私はこんなに悩むこともなかったでしょう。

思うように物事が進まなくて焦っていましたが、この言葉を聞いて「来た当初よりも後退している」という感覚を手放し、落ち着きを取り戻すことができました。

それから自分がどう在りたいのかを再度見つめ直し、家探しが長期戦になる覚悟で「気に入られる自分を演じる」のをやめました。

妥協せずに見つけた快適な家

それから間もなく「住んでもいいよ」と言ってくれる物件に出会いましたが、その家で生き生きと生活している自分が想像できなかったのでお断りします。

ようやく今の家に決まるまでの約2か月間、短期滞在者向けのレジデンスや友人の家を渡り歩く生活を送ることになりました。

長期に渡る家探しは身体的にも金銭的にも負担が大きかったのですが、それでも自分の軸を大切にできたことで、今ではとても快適な家で暮らすことができています

私の家探しについては以下の記事で詳しく紹介しています。

「行動は自分のやりたいことを叶えるこの世の錬金術」

目標

私は面倒臭がり屋で引っ込み思案なところがあるので、「○○がしたい!」と心を動かされても実際に行動に移す段階で尻込みしてしまうことがよくあります。

インターネットで興味のある物事にまつわる情報を眺めては「いいなー」と思い、気づいたらgoogle検索で表示されたサイトのほとんどが紫色に変わっているなんてこともよくありますが、行動するとなると何かと理由をつけて先延ばしにしてしまうのです。

行動することの大切さを教えてくれた言葉

どれだけインターネットで情報を集めても、「いいなー」という思いが膨らむだけで自分の心は満たされません。

ドイツでやりたいと思っていたことはたくさんありましたが、先述の難航していた家探しを表向きの「行動しない理由」にしていました。

「このままじゃいけない」という焦りだけが強くなっていく中で出会ったのが「行動は自分のやりたいことを叶えるこの世の錬金術」という言葉です。

これは「人はワクワクだけで生きられるのか?」という実験に挑んだ双子の姉妹の実話が綴られた『Earth Gypsy』の著者であるmahoさんの言葉です。彼女は、行動しなければ「理想=現実」には永遠にたどり着けないのだと教えてくれました。

「今」「自分から」一歩踏み出す

私の場合、相手(人)が絡むとどうしても臆病になってしまうという傾向があります。さらに、コミュニティのような多くの人が集まる場に飛び込んでいくのには、もう一段ハードルが上がります。

そこで、

  • 誰かに会いたいなと思ったら、今、自分から「〇〇日、空いている?」と連絡を取ってみる
  • 何かを知りたいなと思ったら、今、自分から「〜について教えて欲しい」と言ってみる
  • どこかに行きたいなと思ったら、今、自分から「一緒に〜に行かない?」と誘ってみる

このように「今」と「自分から」をキーワードにして、小さくてもいいから一歩を踏み出し続けることを意識し始めました。

もちろん、いつもうまくいくことばかりではないけれど、行動すればセレンディピティ(素敵な偶然)に出会えることもよくあります。

チャンスは自分で掴みにいく

「海外に出る」という大きな一歩を踏み出せた人なら、それに続く一歩も踏み出せるはずです。

チャンスを待っているのではなく、自ら掴みにいくという姿勢が「なりたい自分」を創ります。とにかくやってみる。行動あるのみです。

「答えは全て自分の中にある」

目標

以前受けていたコーチング(対話を通じて在りたい姿の実現をサポートする手法)がとても有益だったので、自分で自分をコーチングする「セルフコーチング」という手法を学んでみようと思い、出会ったのが「答えは全て自分の中にある」という言葉でした。

この言葉はコーチングの基本となる考え方でもあります。

他力本願ではいけない

私は「今後の方向性を決める」という、はっきりとしない課題を抱えてドイツへやって来ました。そして、密かに「今まで知らなかったびっくりアイデア」に出会えることを期待していたのです。

しかしこの言葉を聞いて、ハッと我に返りました。

海外に身を置くとどうしても「何かを得よう、吸収しよう」と必死になってしまいますが、それではいけないと気づいたのです。「答えは自分の外にある」と言っていることと同じ意味になってしまうからです。

それからは「(知識として)得よう」という考え方を捨てて、できるだけ「感じる」ことを意識しました。ドイツの文化、生き方、哲学に触れた時に、自分は何を思うのか?自分の心はどう揺れ動くのか?

ずっと押し込めていた本当の気持ち

そんなことを意識した生活を送る中で、ついに自分の中に答えを見つけることができました。

ベルリンには画家、作家、音楽家、美容師、サッカー選手、プログラマーなどがアーティスト(自分の理念や理想を表現する術を持った人)としてたくさん暮らしています。

私は彼らの生き様に触れて、「表現したい」という自分の気持ちに気づきました。それは、実は子供の頃に大好きだったことなのです。

でも、いつしか周囲の目を気にするようになり、表現することについて「苦手」という意識が植え付けられた状態で大人になってしまったので、無意識のうちにずっと避けてきた生き方だったのです。

言葉の真実性を実感

コーチングの基本である「答えは全て自分の中にある」という前提。

最初は、素敵な言葉だと思った一方で、どこか信じきれていない部分もありました。しかし自らの経験を経て、今は自信を持って誰かにかけてあげられる言葉になりました。

「自分の世界を広げるために選択をする」

自由

実は、私はドイツに来る直前まで別の国の大学院へ留学するつもりでいました。

出願時には留学が最適な道であると考えていたのですが、出願してから大きな心境の変化があり、「大学院へ進学しても私がやりたいことに繋がらないのではないか」という疑問が湧き出してくるようになったのです。

悩みに悩んだ末、私は大学院への留学ではなく、ワーキングホリデービザを取得しドイツへ渡る道を選択しました。

勇気のいる決断を支えてくれた言葉

社会的には「大学院留学」と「ワーキングホリデー」の2つの選択肢であれば、「大学院留学」の方が価値があると考える傾向が強いと思います。

しかも、上述通りドイツへ渡る目的も「今後の方向性をじっくりと考えたい」という、自分の中ではとても大切なものですが、周囲の人から見たら何ともはっきりとしないもの

そのため、決断を下すには勇気がいりましたし、その決断を周囲の人に伝える時には相当な覚悟が必要でした。

そんな時に支えになったのが「自分の世界を広げてくれると思う方を選べば正解」という言葉です。自分の決断に自信がなかった私は、この言葉を聞いてやっと自信を持つことができたのです。

自分の可能性を狭めない選択を

選択というと、通常は何かを絞り込むというイメージがあります。ただし、「可能性」を絞り込まないよう注意が必要です。

諸条件を並べて、より「良い」方を選択していくわけですが、その時に「世間の目」や「常識」から見て「良い」と判断していないかを自分に聞いてみてください。「自分の世界が広がるのはAとBのどちらか?」と聞いてみてください。

「自分が正しいと思うことをする」

洗濯

「日本の常識は海外の非常識」なんて言葉もありますが、文化が変われば常識も変わり、何が「正しいこと」なのか分からなくなることが頻繁に起こります。

周りの色に染まるカメレオンだった私

学生の頃はそれぞれの文化に応じて「アメリカだから〜」「日本だから〜」とカメレオンのように自分を適応させてきました。「郷に入っては郷に従え」という有名なことわざを忠実に守って生きてきたのです。

でも、そんな行動を続けてきたために、「自分で考える」ことをつい怠るようになってしまいました。

ドイツに来て間もない頃、無意識のうちに「ドイツ人ってこういう時どうするの?」という質問をよくしていました。「〜の場合は○○すればいい」という処世術を探し求めていました。

カメレオンの私は「ドイツ」という新たな色に染まる術を得たかったのです。

自らの判断基準を持つドイツ人

日本ではあまり見かけませんが、ドイツではホームレスが路上や電車内で「お金や食べ物を恵んでください」と積極的に話しかけてきます。

私は「彼らにお金を渡しても麻薬やお酒を買うだけだから渡してはいけない」とどこかで聞いたことがあったため、申し訳ないと思いつつも無視していました。

でもよく周りを見渡してみると、その場に居合わせた半数程度の人はお金を渡しているようです。

ある日、たまたま街をドイツ人男性と歩いていた際に、彼が幼い子供を連れたホームレスのお母さんへお金を渡したので理由を聞いてみました。

すると返って来たのが「自分が正しいと思ったことをすればいいんじゃない?」という言葉だったのです。

自分の行動には自分で責任を持つ

彼は「さっきのお母さんは子供に食べ物を買いたいと言っていたけど、もしかしたら僕が今渡したお金でタバコを買ってしまうかもしれない。でも、彼女が僕が今あげたお金で少しでも喜びを味わえるならそれでいい。お金を何に使うのかは彼女が決めることだから」と言ったのです。

この言葉を聞いて、私はカメレオンをやめようと決心しました。その代わりに、自分の行動や判断の根拠をきちんと自分の言葉で人に説明できるようになろうと思いました。

自分らしい生き方を追い求めて

私が大切にしてきた「自分らしく生きる」ことの魅力を背中で語ってくれたのは、留学時代に多民族社会アメリカで出会った移民のホストファミリーと友人でした。

しかし、「自分らしく生きる」とは想像以上に難しいことだと痛感しています。

正直、自分自身も100%「自分らしく生きている」と言える自信はないですし、「自分らしく生きることを支えたい」という信念を持ちながらも、結果として「自分らしくない生き方」を他人に助長してしまったという失敗経験もあります。

受け身ではなく能動的に生きる

「自分らしく生きる」という言葉の響きは魅力的ですが、実際は「自分らしさって一体なんだろう?」と思い悩む時間の方が長いかもしれません。周りに合わせてなんとなく生きていった方が幸せなのかもしれないと思うことすらあります。

それでも、とても窮屈に感じていた義務教育時代を思い出すと、「生かされる」のではなくて「生きたい」という想いが湧き上がり、ここまで私を突き動かしてきました。

きっと、私と同じように「自分らしさ」に強い思い入れがある人は、過去のどこかでそれを否定された経験があるのではと思い、本記事を執筆しました。何かのヒントになれば嬉しいです。

まとめ~苦しんでいるのは自分だけじゃない

私を救ってくれた言葉を紹介してきましたが、実は何よりも勇気付けられたのは一つひとつの言葉に隠された「あなたは1人じゃない」というメッセージかもしれません。

それぞれの言葉が生まれた背景には、きっと少し先を歩む先輩たちの似たような経験があると思うのです。

だから最後に、海外に挑戦し自分らしく生きようとする人へこの言葉を贈りたいと思います。

「一緒に頑張ろう!」

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記事を書いた人
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1988年生まれ。JAOS認定留学カウンセラー・翻訳家。
アメリカ留学(高校・大学)を経て、「誰もが自分のストーリを歩める社会」を創りたいという想いを抱く。大学卒業後、日本で教育関係のお仕事に約4年半従事。しかし、その中で自分のやっていることが思い描く未来と反対方向に進んでいることに焦りを感じたため退職。
今後の方向性を決めるにあたって、前述の想いを抱くことになった原体験である「移民」に触れたいと思い、2016年9月に難民受け入れに寛容な姿勢を貫いていたドイツへ渡る。

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