日本企業が海外諸国に進出しているように、日本にも多くの海外企業が支社や拠点を置いています。
「語学が得意で海外の人々と関わりたい」「日本にいながら異文化の中で仕事をしてみたい」「スケールの大きな仕事をしたい」などの理由から、外資系企業への就職を希望する人も多いでしょう。
私もそのうちの一人でした。そして実際に、日本にある韓国の公的な貿易機関で働きました。その経験をご紹介します。
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韓国系企業で働こうと思った理由
私と韓国との出合いは、大学時代に日韓の国際問題を学び、約10ヵ月間の交換留学をしたことでした。地方都市で生まれ育った私にとって、交換留学はなにより自分の世界が広がる大きな経験でした。
大学卒業後は地元に残り、日本の一般企業や教育機関で約8年間仕事をしました。
それまでも年に数回の海外出張や、韓国語が必要とされる仕事を任されることがありましたが、「自分の地元しか知らない」ということに次第に閉塞感を覚えるようになります。
もっと広い世界で、もっと新しいものに触れたいという思いが強くなり、昔から憧れていた外資系企業への就職を決意しました。
韓国系企業への転職活動は悪戦苦闘
一言で外資系企業と言っても、金融、IT、サービス業など、その業種や職種は様々です。ただ、私は英語圏ではなく韓国語を使用する企業を探していたので、その選択肢はぐっと狭まりました。
また、ほとんどの場合が新規採用ではなく欠員や増員による臨時採用だったので、毎日求人情報をくまなくチェックしていました。
韓国の高等教育機関では、昔から第二外国語として日本語を採用している学校が多いのですが、そうした就職口も日本語に堪能な韓国人でほぼ埋まっている状態です。
そんな中、私は日本の一般企業や教育機関での勤務経験が大きな強みだったので、「日本語ネイティブだからこそ役立つ人材」という点をアピールポイントとして選考に臨みました。
韓国の貿易機関での仕事内容は日本企業との橋渡し
外資系企業・組織と聞くと、まずどんな仕事を思い浮かべますか?通訳・翻訳が主な仕事だと捉えられることがありますが、言語は仕事をするための基本的なツールに過ぎません。
私が勤務した韓国の公的貿易機関では、韓国政府の指示に基づき、韓国企業の海外進出や輸出を支援する役割を担っていました。
具体的な仕事内容は主に、日本企業に韓国製品を買ってもらう(輸入してもらう)ための営業、展示商談会の実施、現地(韓国)視察の案内・同行などです。
日韓の貿易を促進するための、まさに日本企業と韓国企業の橋渡しという役目でした。
韓国の貿易機関で働いて分かった日本企業との違い
周囲が韓国のものであふれている
いくら日本に所在する韓国系組織とはいえ、いったん社内に入るとそこは別世界。
面接で初めて訪問した際に受付に入った瞬間、韓国語が飛び交い、韓国語の資料やポスターが目に飛び込んでくる環境に戸惑ったことを覚えています。
仕事の仕方も日本と異なる
そして、働き始めて最も強く感じたことは、上司によるトップダウンで全ての仕事が動いているということです。これについては、欧米の企業とはやや異なるかもしれません。
韓国の場合は、上部組織に関わる仕事は本来の仕事を後回しにしてでも優先する傾向が強いです。
また、日本企業では、新しいプロジェクトを始める前に何度もミーティングを重ね、不安要素をある程度取り除いてからスタートさせます。一方、韓国の場合はトップダウンで物事が進むため、仕事のスピードや軌道修正が非常に早いのが特徴です。
韓国の貿易機関で働いて仕事スタイルの違いに苦労した
日本と地理的に近く、言語や習慣がとても似ている韓国。しかし、上述したように、その仕事の進め方は日本と大きく違います。私はそのビジネススタイルの違いというハードルに何度もぶつかりました。
これも先に述べた通り、何をするにも時間をかけてじっくり検討するのが一般的な日本企業に対し、韓国企業はすぐにでも成果や実績を求めます。
両者のビジネススタイルを深く理解し、いかに滞りなく、円滑にビジネスを成立させるかが最も苦労したところです。
コミュニケーションを取ることが鍵
仕事をする中で、「どうして韓国ではそうなの?」という疑問を抱くかもしれません。そんなときは、上司や同僚とのコミュニケーションを積極的に行い、韓国のビジネスに対する理解を深める姿勢が大切です。
韓国企業の特徴を十分理解することが、仕事で実績や成果を残す重要な鍵となるでしょう。
外資系企業で働くために必要なスキルとは
外資系企業・組織では、たとえ年度途中であっても突然の方針変更や新規事業の立ち上げがあるなど、変化が非常に早いです。そこで、社員もスピード感を持って仕事をこなすことが求められます。
また、成果や実績に関しても非常に厳しく問われ、それによって対価(給与・インセンティブ)が決まります。
したがって、語学力は言うまでもなく、仕事を迅速に処理する能力、担当業務を的確に管理する能力、そして組織内での上司や同僚とのコミュニケーション能力が必須と言えます。
まとめ~広く新しい世界が待っている
外資系企業・組織で働くことは、とてもやりがいがあります。毎日が新しく、変化にあふれ、日本人だけではない多様な人々との出会いが待っています。
もちろん、外資系だからこその苦労もありますが、長い社会人人生の大きな転換点となることは間違いありません。
必要なスキルやその国の働き方・仕事文化の特徴などを十分理解し、ぜひ日本企業とは違う新しい世界に挑戦してみてください。
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