私が持つ日本の公立学校教師のイメージは、責任感が強く、生徒たちの成長を考えて朝から晩まで仕事に没頭する、同僚が困っていたら手を差し伸べ、自分を犠牲にしてでも周りのことに配慮してひたすら教師として働く、といったものです。
一方、ここアメリカでは、同じ公立小学校の教師でも日本のそんな働き方とは違うように感じます。
私は、英語を母語としない子どもたちへの英語教師(ESL教師)を目指し、アメリカで臨時教師として働いています。アメリカの公立小学校教師の勤務事情を、日本との価値観の違いも含めてお伝えしたいと思います。
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アメリカの公立小学校のカレンダー
アメリカの公立学校における年間スケジュールは、基本的に連邦政府の法律に従っています。ですが、地域に関わることはすべて州や行政地区によって定められ、州によって異なる点が多いです。
私は北部バージニア州に住んでいますが、州内でも学校の始業日や終業日、また祝日にも違いがあります。
私の勤めている行政学区域には小学校が140あります。毎年の学校カレンダーは先生を含む教育委員会で決められますが、子どもの両親にも意見を述べる場が設けられています。
学校カレンダーは、始業日、終業日、冬・春休みの時期を考慮した日程を教育委員会から提案され、投票システムはありませんが、その中から一番同意の多かった案が選ばれます。皆の意見が考慮されるという点は、公平で民主的だと感心します。
アメリカ公立小学校教師の役割分担
日本では、小学校教師は音楽・芸術・体育なども教えますが、アメリカではそういった分野は専門の教師が教えます。担任の教師は算数・英語・社会・理科を教え、専門教科の時間は次の授業の準備に充てることができます。
参考までに、以下が小学校教師の主な担当分野です。
- 小学校低学年・高学年
- ESL(English as a Second Languageの略)
- 音楽
- 芸術
- 体育
- 特別学級
- 進級学級
- 外国語(スペイン語、フランス語、中国語など、その小学校が選んだ外国語を担当。外国語を教えていない小学校もあり)
専門分野は自分が得意な、あるいは希望する分野を選ぶことができます。臨時教師の資格としては、大学卒業またはそれ相応の職業経験を求められます。
アメリカ公立小学校教師の一般的な勤務時間
日本と違い、アメリカの教師の勤務時間は割と短いです。学校によって始業・終業時間が多少異なりますが、基本的に朝8時半から夕方4時までが勤務時間です。
なお、私は臨時教師なので時給制です。
基本的には残業なし
規定時間より1時間前後多く働く場合もあるようですが、教師の残業はめずらしいです。教師アシスタントや臨時教師は、定時に出勤・退社することがほとんどです。
ただ、新学期や学期末の時期になると採点や評価などで普段より時間がかかるため、1日あたり2〜3時間多く仕事をしている人が多いようです。また、パソコンが各自支給されているので、自宅で夜に、または週末に仕事をすることもあります。
勤務時間中に業務をこなせる環境
先に述べたように、子どもたちが体育や音楽などの特別教科の授業を受けている間に毎日の授業準備ができるので、ランチの時間などを含めると1日1〜1.5時間は確保できます。
また、先生たちの会議や研修は勤務時間中に実施されます。そんな時は私のような臨時教師が授業を担当するので、正規の教師であっても日本の教師に比べかなり負担が少ないといえます。
アメリカ公立小学校教師の年間休日はどれぐらい?
臨時教師は、先生が何かしらの事情で欠席する場合、代わりに入ります。そのため学校がない日が休日であり、週末、祝日、そして長期の春休み(1週間)、夏休み(2カ月)、冬休み(2週間)も仕事がありません。
祝日は以下の14日です。
- New Year’s Day(お正月)
- Martin Luther King, Jr.’s birthday(マーティン・ルーサー・キング Jr. 誕生日)
- George Washington’s birthday (ジョージ・ワシントン誕生日)
- Spring break (春休み)
- Memorial Day(メモリアル記念日)
- Independence Day(独立記念日)
- Labor Day(労働者の日)
- Columbus Day(コロンバスの日)
- Thanksgiving Day(サンクスギビングの日)
- Friday after Thanksgiving Day(サンクスギビング翌日の金曜日)
- Christmas Eve(クリスマス・イブ)
- Christmas Day(クリスマスの日)
- New Year’s Eve(大晦日)
- Inauguration Day(4年に一度、大統領就任式の日)
教師や学校事務職の有給休暇は?
通常、教師の有給休暇は働いた日数に0.0538を掛けた日数で、年間最大14日まで取得することができます。
なぜそういった算出方法になっているかというと、公立学校の教師や事務職は勤務日数がさまざまだからです。基本的に事務職は年間契約日数12カ月のフルタイムですが、教師には12カ月という枠がありません。
それぞれに異なる契約内容
大きく分けると一般的に、正規の学校教師の場合は10カ月契約、そして教師サポートや専門教科教師の場合は9カ月契約です。個人の契約日数と勤務の種類によって違います。
正規の教師には、通信表に成績を付ける時間や、定期テストの採点、授業の準備、トレーニングなどの時間が必要です。その他の教師にはそれらの時間がないので、勤務日数が少なくなります。
臨時教師に有給休暇はありませんが、半日勤務もあるため、空いている時間を有効利用できます。
アメリカ公立小学校教師の長い夏休みとその過ごし方
教師になる魅力の一つは、長期の夏休みです。学校が6月中旬に終業し、学期末の仕事整理をした後、6月下旬から、新学期が始まる1週間前の8月下旬まで、教師は長い休みとなります。
個性が表れるそれぞれの休暇事情
この時期は、海外旅行へ出かけたり、海や山へ行ったり、地元に帰省したりと、教師もたっぷり時間を取ってバケーションを楽しみます。海外出身の教師の中には、自国へ帰り家族や友達と時間を過ごすという人もいます。
驚くのは、夏休み中に公立学校主催の特別クラスで教えたり(別途収入あり)、レストランなどでアルバイトをしたりする教師もいることです。
でも一般的に多いのは、自宅で普段できないお掃除をしたり、ゆっくりくつろいだりと、のんびりする過ごし方のようです。
先生たちの休暇の取り方は、好みによってさまざまですね。
アメリカ公立小学校教師は子どもを優先して働ける
家庭第一主義
アメリカでは家族を大切にする傾向があります。配偶者の通院の付き添い(複雑な事情の場合)や子どもの行事など、休暇や早退を必要とする場合に理解が得られやすいです。
何より、子どもを育てる「学校」という職場なので、子どもの病気や学校行事のための休暇や早退は理解されています。
遅刻や臨時休暇も受け入れられる
実際に私も、子どもの送迎時間と仕事時間に無理があった時、こんな様子でした。
臨時勤務予定の小学校の始業時間が早く、朝8時15分には学校に着く必要がありました。ところが、息子を別のバス停まで送る必要があり、時間に間に合いません。そのことを事前に説明すると、受付の方は「遅れて来てもいいですよ」と、あっさり理解してくれました。
また、先日のことですが、臨時授業の予定があった当日の朝、子どもが急に熱を出して学校を欠席しなければならず、出勤するはずだった学校へ連絡してキャンセルしました。このように、急な休みも受け入れてくれます。
理解のある働きやすい職場
子どもの学校の行事に参加したい場合なども、その時間分はもちろん給料はもらえませんが、事情を説明すれば仕事に影響がない限り遅刻や早退が可能です。
家庭の事情への理解が十分にあり、働きやすいです。とてもありがたく思っています。
まとめ〜働くために生きるのではない
アメリカの公立小の教師は、日本の教師に比べて時間的にゆとりがありますよね。1年間フルに働くのではなく、夏休みなどの長期休暇でたっぷり休養を取って充電し、新学期からより効果的な授業をすることができます。
ストレスの多い日本社会で、ぜひこの仕組みを取り入れてほしいものです。
このような職場環境だからこそ、ESLの教師を目指す近い将来の自分の姿を描き、公私共に充実した残りの人生を送りたいと考えることができています。
働くために生きるのではなく、社会に貢献しつつプライベートも充実した生活を送りたいと思っています。
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