物価が安いというイメージが定着している東南アジアですが、最近ではどの国も、インフラや産業の発展と外国からの投資拡大に伴って年々物価が上がってきています。一方で、日本円は安倍政権の政策に基づき円安をキープ。
「東南アジアへの移住はお得」という従来のイメージは今でも通用するのでしょうか?
インドネシアはバリ島に暮らして10年、現地企業に勤めながら30代も後半に突入し、日本人の妻との間には2人の子供、様々な移住者がいるここバリ島でも中流を自負してやまない我が家の生活費を公開し、海外移住で一番気になる物価について検証していきます!
※1インドネシア・ルピア(以下ルピア)=約0.008円
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バリ島での家賃:アパート?一軒家?家賃の相場はどれくらい?
独身ならアパートが便利
バリ島で暮らし始めるのに一番手頃で簡単なのが、「コス」と呼ばれるアパートタイプの部屋を借りる方法です。
コスを選ぶメリットは、日本のアパートのように敷金や契約金などが一切かからず、1カ月分の家賃を前払いするだけで翌日から住めることです。
家賃は、
- ワンルームにバス・トイレが付いて月200万ルピア(約1万6000円)
- 余裕のある1LDKで月300万ルピア(約2万4000円)
- 共同プール付きのデラックスなタイプで月500万ルピア(約4万円)
と、様々なタイプから選ぶことができます。
さらに、ベッドやエアコン、冷蔵庫といった大型の家具・家電が備え付けになっているところがほとんど。この大型家具などを最初に買うと意外にお金がかかり、また次に引っ越すとなると持ち出すのが大変ですが、その心配もいりません。
単身で移住する方などはこの「コス」がベストな選択ではないでしょうか。
憧れのプール付きヴィラ
リゾートであるバリ島に住むと聞くと、小さいながらプライベートプールがあってオープンテラスで朝のコーヒーが楽しめるようなヴィラ暮らしを思い浮かべる方も多いと思います。
そんなヴィラの気になる家賃ですが、夫婦2人で暮らせるようなタイプのもので1年間1億ルピア(約80万円)ほどからが相場になります。月払いできることもありますが、その場合は少々割高になります。
さらに、プール付きのタイプはプールの維持費や庭の手入れなどの費用が別に毎月約100万ルピア(約8000円)ほどかかってきます。
それでも、1カ月10万円以下の家賃でリゾートでのヴィラ生活ができるのは大きな魅力の一つですね。
4LDKの我が家の家賃は?
家族暮らしなら一軒家を借りてしまうのが一番お得なやり方です。
4人家族の我が家があるのは、バリ島の繁華街や空港まで車で15分のところ。ほどほど便利な立地の4LDKの借家で、もう5年ほど住んでいます。
現在の家賃は1年契約で5000万ルピア(約40万円)。1カ月に換算すると約3万5000円です。
一軒家を借りる場合はたいてい1年間分の家賃を前払いし、雨漏りがあったり水道が詰まったりした場合には自己負担でメンテナンスを行うシステムになっていて、面倒なことも多いです。
それでもやはり、バリで一番お得感があるのは一軒家だと思います。
水道光熱費・飲料水代は月1万2千円
毎月定額でかかる水道、電気、ガス、そして料理などでも使うミネラルウォーター代を合計すると150万ルピア(約1万2000円)です。
バリ島での食費:買う場所によって異なる食材の値段
我が家は子供もいるので基本的には自炊しています。妻も日本人なので、食卓にのぼるメニューは日本とほぼ同じような内容です。
バリ暮らし10年、妻は日本の食材や調味料などが買える日本食材スーパーと、新鮮で安く現地の食材が手に入る地元の市場を上手に使い分けているようです。
便利な日本食材スーパー
日本人在住者の多いインドネシアの都市には必ずある日本食材のスーパーマーケット。醤油、みりん、マヨネーズ、またゴボウやレンコンといったものまで、日本の料理を作るために必要なものはほぼそろいます。
鶏肉なども日本と同様に骨など外してあって使いやすいことから、最近は日本人だけでなくインドネシア人やヨーロピアンにも人気です。
値段は以下のようになっています。
- 醤油1リットル:7万ルピア(約560円)
- マヨネーズ300g:7万ルピア(約560円)
- 牛乳1リットル:2万5000ルピア(約200円)
- バター300g:5万ルピア(約400円)
- 骨なし鶏肉500g:5万ルピア(約400円)
- 食パン6枚切:2万ルピア(約160円)
- 納豆3パック:3万ルピア(約240円)
やはり日本の調味料や食材は高くついてしまいますね。乳製品も日本より割高です。それでもこれは必要経費。
我が家では、調味料や乾物などは日本から来る友人にお土産で頼んだりして、うまくやりくりしています。
庶民の台所、ローカル市場
市場はどこにでもありますが、だいたい朝5時から9時くらいまでが営業時間です。
雑多な雰囲気で入りづらいですが、ここで買い物ができるようになれば上級者!野菜や卵、魚などの生鮮食品をメインに買い物できます。
- キャベツ1個:5000ルピア(約40円)
- 玉ねぎ1kg:1万8000ルピア(約144円)
- スイカ1玉:2万5000ルピア(約200円)
- 骨付き鶏肉500g:2万ルピア(約160円)
- 卵10個:1万5000ルピア(約120円)
- お米1kg:1万2000ルピア(約96円)
- マンゴー1個:8000ルピア(約64円)
安いです!スーパーマーケットの約3分の1の値段です。
食費は安いがお酒は高い
日本食材スーパーと市場を上手に使い分ければ、日本にいた頃と同じような食事内容で、洗剤などのキッチン周りにかかる雑費も含め、4人家族の我が家の食費は1カ月400万ルピア(約3万2000円)です。
ただ、食費は安く済むインドネシアですが、高くつくのはお酒です。
ビールが一番手頃で大瓶3万ルピア(約240円)ほどですが、ワインは安くても1本18万ルピア(約1440円)、輸入もののウィスキーとなると1瓶1万円超えです!
夜に夫婦で飲むお酒が欠かせない我が家では、このお酒代で1カ月150万ルピア(約1万2000円)ほどかかります。お酒が安くて豊富な点では、日本がうらやましくなります。
︎バリ島での交通費:生活の足は車かバイク
電車やバスといった公共の交通機関がほぼないバリ島では、移動は車かバイクです。我が家では車を1台とバイクを2台持っていて、出かける場所によって使い分けています。
ガソリン代は10年前より約2倍に上がったとはいえ、現在1リットル約8000ルピア(約64円)です。我が家で消費するのは1カ月で60万ルピア(約5000円)ほどでしょうか。
バイクや車はいくらぐらい?
バイクは、妻が使う120㏄のスクータータイプを1700万ルピア(約13万6000円)で新車を購入。これに家族4人が乗ることもあり、渋滞の多いバリの生活では一番使い勝手がいいです。
車は中型の日本車を2010年当時、1億5千万ルピア(約120万円)ほどで購入しました。
車やバイクは新車で購入するとほぼ日本と変わらない価格で、こちらの物価からするとかなり高いですが、特筆すべきは中古車の値段もあまり安くないことです。
例えば、150万円で買って5年乗った車を売りに出した場合、まだ100万円以上の値がつくことはざらなんです!
私の知る限り、日本以外の国では中古車の市場価格はどこも似たようなもので、日本が特別、中古車の価格が低いようです。
交通費は安く済む
この他に、最近人気のオンラインタクシーなどリーズナブルなサービスも多く、交通費も高くつくものではありません。
バリ島での通信費・テレビ代:携帯・ネット・日本の番組は欠かせない
スマートフォンは通話料と、最近4Gの電波がどこでも使えるようになったインターネットが月5GBの容量で合計10万ルピア(約800円)、自宅のWIFIは15GBの容量で同じく10万ルピア(約800円)。
インドネシアではネットの費用は安く済みますね。
テレビは衛星放送でNHKも見られるようになっていて、これが毎月20万ルピア(1600円)です。
バリ島での交際費:大切な日本人との付き合い
長く同じ場所で暮らすほど増えていくのは友人付き合いです。
バリ島には日本人だけでも4千人近い在住者、長期滞在者がいると言われている(2018年8月現在)ので、仕事、近所、子育て仲間とたくさんの友達付き合いがあります。
意外に高くつく食事会
それぞれ食事会や飲み会などの集まりもあるわけですが、これは案外出費がかさむもの。
日本風の居酒屋や、友人が経営しているレストランなどで集まることが多いのですが、会費が1人20万ルピア(約1600円)ほどになります。
日本よりも広い住まいが自慢のバリ島暮らしなので、ホームパーティーなんかも頻繁にあって、そういった場合には1人10万ルピア(約800円)ほどの会費制か、それぞれが飲み物などを持参するようなスタイルもありますね。
このような交際状況で、我が家では1カ月約150万ルピア(約1万2000円)程度の出費です。
バリ島での医療費・保険料:もしもの時の備え
医療費は子供がいると特に気になる部分です。
現地の病院はピンキリ
インドネシアで労働許可(ワーキングパーミット)を取得すると、家族に対してBPJSと呼ばれる医療保険の加入が義務づけられ、特定の診療所では原則無料で診察・治療が受けられます。ただ、その特定の診療所というのはインドネシアでいえば最低限の施設で、私達にはちょっと不安です。
そのため、もう少し施設の整った、外国人も通う病院に行くことが多いのですが、ちょっと診察してもらい、薬を出してもらうと1回に50万ルピア(4000円)ほどかかってしまいます。
日本人通訳が常駐している病院などもありますが、インドネシアでは病院のサービスとその診察料はピンからキリまで幅が広いのです。
日本の国保で払い戻し可
ただ、我が家は日本で国民健康保険に加入しているので、日本に帰国した際、きちんと手続きを踏んで請求すれば日本と同じ3割負担になります。
必ず3割負担になるわけではないようですが、海外の病院で使った分も戻ってくるというのは、国民健康保険の案外知られていないポイントなのではないでしょうか。詳しくは以下の記事に解説があります。
バリ島での教育費:親にとっては最大の関心事
インドネシアにももちろん、日本人学校と呼ばれる学校がありますが、それはジャカルタなどの大都市の話で、バリ島には日本企業が少ないという理由でありません。
その代わり週2回程度、塾のような感覚で通い、国語(日本語)や日本語での算数などを勉強する日本人補習校というものがあります。
2校に通ううちの子の学費
我が家の子供は上が4歳で幼稚園生、下はまだ1歳です。上の子は外国人でも入学できる私立の幼稚園に2歳から通っていて、その学費は1年で2000万ルピア(約16万円)、1カ月では約1万3500円です。
それに加えて、日本に戻ることがあってもいいように上述の日本人補習校にも通っていて、その費用が1カ月100万ルピア(約8000円)。
2校合わせて月2万1500円ほどです。
なお、我が家では、この教育費を銀行に預けた定期預金の金利で賄うようにしています。超低金利の日本とは違いインドネシアではきちんと金利が付くので、レートのいい時を見計らって日本から持ってきたお金をこちらの銀行で定期にしました。
高額なインターナショナルスクールも
世界中から移住者が集うバリ島にはインターナショナルスクールなどもたくさんあり、その学費は様々です。高いところで1年200万円、安いところでは1年50万円ほどです。
子供が大きくなる何年か後が恐ろしいこの頃です……。
︎バリ島滞在に必要なビザ費用・日本への一時帰国費用
忘れてはいけないビザ費用
海外移住するなら絶対に考えなければいけないのが滞在ビザにかかる費用です。
インドネシアのビザには、2カ月以内の観光滞在から6カ月滞在の長期滞在ビザ、労働許可のあるビザ、老後移住用のリタイアメントビザまで、いろいろな種類があります。
家族4人分で月約8千円
我が家では、現地企業に勤める私が労働許可証のあるKITASといわれるビザを持ち、家族は1人あたり1年間400万ルピア(約3万2000円)で帯同ビザを所持しています。
労働許可の取得費用は会社が持つのが一般的ですが、家族の分のビザ費用は、日系企業の現地採用や現地企業の場合は自己負担になります。うちの場合、1カ月に換算すると家族4人分で100万ルピア(約8000円)という計算です。
これは外国人として家族でインドネシアに滞在する場合の一番安い計算パターンです。労働許可を持たない滞在の場合などはまた別になります。
里帰りはLCCで安く抑える
個人的には最低でも1年に1回、できれば2回はしたい日本への一時帰国。
2018年8月現在、バリ島と成田空港の間をLCC大手エアアジアが毎日就航しており、ピーク時を外せば片道2万円ほどでチケットを買えるのでとても助かります。
ただ、帰国の費用で以外に一番高くつくのが日本の友人、知人との付き合いです。普段物価の安い国で暮らしている分、一晩で1万円札が飛んで行ってしまう日本のお付き合いは正直、痛いですね……。
︎バリ島での娯楽費:せっかくのリゾート暮らしを楽しむ
サーファーにとって最高の環境
私にとってバリ島暮らしでの一番の楽しみは休日です。休日は朝早くから起床し、家族がまだ起きてこないうちにサーフボードを持って外へ飛び出します。
家からバイクでわずか15分ほどのビーチには、サーファーにとっては夢のようなパーフェクトな波が!
使うお金はガソリン代とビーチでの飲み物代程度なので、1回5万ルピア(約400円)ほど。常夏の気候の中、これだけの出費で思う存分いい波で遊べるのです。
サーファーパパである私にとっては金額に換算できないメリットです。
お金をかけずに遊べる
日本での都会暮らしだと、家族で出かける場所はショッピングモールやテーマパークなど何かとお金を取られる場所ばかりですが、ここバリ島ではビーチに山にプールとお金のかからない遊び場所がたくさんあります。
子供にとってもお財布にとっても嬉しい限りです。
︎バリ島での我が家の生活費は月約14万円
では、ここまでに見てきたおおよその決まった出費(1カ月分)を日本円で合計してみます。
- 家賃:3万50000円
- 水道光熱費・飲料水代:1万2000円
- 食費・台所用品など:3万2000円
- お酒:1万2000円
- 交通費:5000円
- 携帯・ネット・テレビ代:3200円
- 交際費:1万2000円
- 教育費:2万1500円
- ビザ費用:8000円
1カ月合計:14万700円(約1700万ルピア)
これは最低限の金額で、医療費や一時帰国費用などは含まれていません。
日本に比べてお得なのは家賃・住居費、食品・外食費、そして交際費や娯楽費です。逆に、日本に比べて高く感じるものはお酒、医療費、教育費といった項目です。
まとめ~幸福度は物価だけでは測れない
一昔前は、東南アジアでは日本の3分の1の生活費で暮らせると言われていましたが、最近ではインフラの整備も進み、生活全体で考えると現在は日本の70%くらいの出費が必要という実感です。
日本との物価に差がなくなる日も遠い先ではありません。
同じ物価ならば住み慣れた日本での生活を取るのか、お金だけでは測れない南国暮らしの自由を求めるのかは、一人ひとりの価値観の問題です。
我が家の例でいうと、妻も子供ものびのびと暮らせていて、生活の幸福度は日本に比べて5割増しです。
※この記事の内容は2018年8月現在のものです。
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