海外で働くと、日本で働くよりも高収入が得られるのでしょうか?
実は、海外駐在員として働くのか、それとも現地採用社員として働くのかによって給料事情は大きく異なります。そのため、必ずしも収入が増えるわけではないというのが現実ですが、現地の物価はもちろん、給料以外の手当の有無や給料の支払い方法によってもその価値は左右されます。
この記事では、海外就職活動の際にチェックすべき給料のポイントについてご紹介します。
【海外求人をチェックしたい方はこちら】
- リクルートエージェント(未経験から幅広く求人を探す)
- LHH転職エージェント(全世界から幅広く求人を探す)
- JAC Recruitment(海外勤務・外資系を狙う年収600万円以上の方向け)
海外就職でもらえる給料は交渉可能
まず大前提として、海外就職でもらえる給料の額は交渉可能です。日本だと自分から希望給料を言うことはためらわれるので、遠慮して提示額をそのまま受け入れる人も多いのではないでしょうか。
しかし、海外で働くなら希望はしっかりと伝えなければなりません。
- 毎月または年間でいくらもらいたいのか
- 支払いはどこの国の通貨なのか
- 賞与やボーナスはあるのか
こういったことは、面接時に交渉あるいは確認すべき事項です。大事なポイントなので、最初にしっかり話し合っておきましょう。
海外就職でもらえる給料は通貨単位が重要
海外就職にあたり、給料の額はもちろんですが、支払い方法も最重要チェック項目のひとつです。支払われる給料がどの通貨建てになるかは非常に大きな問題です。
円建てで受け取るのが一番わかりやすいのですが、海外で働く場合には米ドルや現地通貨建てで支払われる場合もよくあります。
海外での給料の支払いパターン
- 日本円建て
- 米ドル建て
- 現地通貨建て
- 円+現地通貨建て
- 小切手
- 現物支給(お米など)
では、それぞれのパターンの特徴や受け取り方法を確認しておきましょう。
円で給料を受け取る
日本人や日系企業を相手にしているような仕事であれば、取引先からの入金が円建てとなることが多いことから、給料も円建てで支払われる場合があります。
円建てでの取引により得た資金を米ドルや現地通貨に両替すると為替差損益が発生するので、それを回避するため円建てのまま従業員の給料として支払われるのです。
円で受け取る場合の振込先と注意点
円建てで給料をもらうなら、ほとんどの場合は日本の銀行口座に振り込まれることになります。稀ですが現地の口座に振り込まれることもあるので、確認しておきましょう。
注意が必要なのは、円建ての場合、実際に生活の拠点を置く場所で現地通貨に両替しなければならず、受け取った側で為替差損益が発生することです。
現地滞在中、給料を両替するたびにレートの心配をしなければならず、負担といえるでしょう。特に円安が進んだ2015年には、給料を日本円でもらう駐在者や現地採用者から悲鳴が聞こえました。
米ドルで給料を受け取る
アメリカ国内での就職ならば、当然米ドルが現地通貨なので為替差損の心配はありません。
アメリカ以外の国でも、規模の大きな企業の給料は米ドル建てで支払われることが多いですが、特に東南アジア(ミャンマー、ベトナム、カンボジアなど)や中近東エリアで米ドル建ての場合は気を付けなければなりません。
米ドルで受け取る場合の注意点
為替相場が円高傾向か円安傾向かによって、日本円換算額はだいぶ違ってきます。当然のことながら為替レートは日々変動するので、対現地通貨の場合も同様に、米ドルで受け取っても両替すると思ったより少なくなってしまうことがあります。
給料が米ドル建てで支払われるという条件は一見、魅力的ですが、そこは冷静に考えましょう。生活費の支出のために両替をするたび為替差損をこうむるようなことは、極力避けたいものです。
現地通貨で給料を受け取る
海外就職で受け取る給料は、現地通貨建てであることが一番多いかもしれません。筆者は中国で仕事をしていますが、現在受け取っている給料も現地通貨建てです。
現地通貨の額面は、けた数が非常に多くなる(ベトナムドンやミャンマーチャットなど)ことがあり、日本円や米ドルに慣れている人にとってはとてもわかりにくい場合がありますが、事前リサーチの段階で日本円での換算額の目安をしっかり押さえておくことが大切です。
けた数が多くても、換算してみると結局それほどの金額ではなかったということがほとんどです。
現地通貨で受け取る場合のメリットと注意点
現地通貨建てで給料を受け取るメリットは、日々の支出で為替差損をこうむることがないことでしょう。
また、成長著しい東南アジアの国の通貨の場合、数年の間にどんどん価値が上がることがあり、現地通貨で給料を得ている人にとっては得となります。
一方、そのような国に旅行で訪問する際や日本に帰国する場合には為替差損益が発生するので、できる限り損が少なく済むよう気を付けておかなければなりません。
現地通貨での支払いは直接手渡しの場合も
稀にではありますが、給与が現地通貨建てで支払われる場合、口座振込ではなく直接手渡しということもあります。
その場合、給料日は毎月何日か、誰から受け取るのかなどを事前にはっきりさせておく必要があります。でなければ、トラブルになってしまうかもしれません。
私の友人は以前、中国で給与手渡しの会社に勤めていました。一応、給料日は毎月15日と決まっていたそうですが、給与を渡してくれるはずの上司が出張に行っていて会社にいないことが多く、もらえるのが1週間後2週間後ということもちょくちょくあったそうです。
また中国にはほぼ毎月祝日があり、給料日と祝日が被ってしまうと、休み明けに出社するまで待たなければならないこともあったとか。
給料日ごとに直接手渡しのデメリットを実感する可能性
そしてこれは中国の国民性なのか、その人の性格ゆえなのか分かりませんが、まだ給料を支払っていないことを上司がそもそも気付いていない、または忘れてしまっていることも多かったそうです。
毎月給料日がくる度に催促するのも億劫だ……と、友人は嘆いていました。
このようなケースに遭遇することはそれほど多くないかもしれませんが、中国や東南アジアの国では時々あるようです。
直接手渡しの場合は手続き等が必要なく簡単に思えるかもしれませんが、このようなデメリットもあることを知っておきましょう。
円と現地通貨の両方で受け取る
海外駐在員として働いている方に多いのがこのタイプです。基本的な給料は円建てで日本の銀行口座に振り込まれ、駐在手当やその他諸経費は現地通貨で支給されます。
海外就職でもらえる給料以外のボーナスや各種手当は会社次第
海外就職でボーナスはある?
日本国内の企業では年に2回、ボーナスの支給があるところが多く、働く側にとってはとてもうれしい制度です。1回あたりの支給額を抑え、年3回に分ける企業もあるようです。
ただ、日本なら当たり前と思われるこのボーナス制度も、海外では必ずしも一般的ではありません。
そのため、海外の仕事を探す中で毎月の給料の高さに魅力を感じても「ボーナスがない」または「あっても少ない」ことにより、年収で考えるとそれほど高くなかったということがありがちです。
月々の給料以外にボーナスはあるのか、ある場合どのくらい受け取れるのかをしっかりチェックしなければなりません。
支給条件を確認しておく
ボーナスの支給額には、その企業の経営状態が反映されます。企業側が賞与支給実績について「○ヶ月分」」のような明確な提示をしない場合は、前期売上の如何によってかなりの変動が予想されると考えるべきでしょう。
月々の給料は残業手当なども含めある程度の金額を見込めても、ボーナスの支給額となると企業により本当にさまざまです。
これは、日本国内での就職・転職の際に気をつけることと同様ですが、海外の外資系企業などで条件が英語で記されている場合には、あいまいにせず事前にしっかりと把握しておくことが大切です。
ビザ取得などの費用は負担してもらえる?
就労ビザの取得の際にかかる費用や、一時帰国のための費用を会社が負担してくれるか、してくれる場合はどのぐらいの割合なのかなども、事前に確認すべきです。
東南アジアのある国で働いている友人は面接の際、一時帰国にかかる費用は会社が負担すると言われていました。
しかし、内定後によく聞いてみると、会社が負担するのは年に1回分、しかも1/3のみとわかり、経済的な計画を練り直す必要があったということです。
海外就職の給料以外に大事なポイント
福利厚生
まず注意しなければならないことは、海外の企業に日本の常識を当てはめてはいけないということです。国が違えば、言葉や食べ物、ライフスタイルだけでなく、ビジネス習慣や法律などもすべて異なります。場合によっては、ひとことで文化の違いと片付けることもできないほどの大きな、そして複雑なギャップがあるものです。
日本の常識は日本人が「常識」と思っているだけで、外国人から見たら「非常識」であるものも多いのです。そのため海外では日本の常識を忘れて、福利厚生はその国の実情に合ったレベルで充実していればよいのだという風にとらえましょう。
それでは、海外で働く場合に注目しなければいけない福利厚生のポイントをご説明していきます。
就労ビザ取得のためのサポート
ここでいうサポートとは、就労ビザの取得に関わる費用の補助や、ビザ取得のために企業側がどの程度動いてくれるのかということです。
海外転職では、就労ビザは必須です。誰もが避けては通れない最重要なチェック項目です。ただ、ビザ制度は国によって異なり、就労ビザ取得にかかる費用や時間、取得の手順などは国の数だけパターンがあるといっても過言ではありません。
まずは、働きたいと思っている国の就労ビザに関する情報を調べましょう。そして、実際に転職を決める際には、人事担当者に就労ビザ関連事項の確認をすることが必須です。
会社に直接、確認しておくべき事項
- 就労ビザが取得できるかどうか
- 就労ビザ取得のための費用補助の有無
- 就労ビザ取得のための手続きサポートの有無
- 就労ビザ取得までの大まかな流れ
- 就労ビザ申請に必要な書類など
そもそも就労ビザが出るのかどうかということから、取得にかかる費用を自分と会社のどちらが出すのか、ビザ取得までの流れはどうなっているのかということまで、しっかり把握することが重要です。
海外求人サイトや転職サイトには、就労ビザの取得をサポートしてくれるか否かについての情報が記されていますが、必ず面接時に直接確認するようにしましょう。
就労ビザ取得費用は負担してもらえるのか
基本的には、ビザの取得費用は採用する企業側が負担することが多いのですが、企業によって異なります。以下の3つのパターンが考えられます。
- 全額を自己負担
- 全額を企業側が負担
- 一部を企業側が補助
1の全額自己負担の場合は、ビザ取得時に企業側がいったん支払い、勤務開始後に本人の給料から天引きする方法もあります。
また、3の「一部補助あり」で気を付けなければならないのは、具体的に補助はどのくらいなのか、結局自己負担はどのくらいになるのか、ということです。補助として受け取れる金額には上限があることも多く、その場合は取得費用全額の何パーセント分に当たるのか、よく調べて試算してみましょう。
これらの点は、前もって確認するのが必須です。働く側としては、全額自己負担だけは避けたいものです。
スムーズな就労ビザ取得サポートが受けられる企業とは
それでは、どんな会社ならスムーズに全額または一部補助を含むビザ取得サポートが受けられるのでしょうか。
取得費用を全額負担してもらえるケースの多くは、採用企業が大手の日系企業の場合です。大手の日系企業は福利厚生が充実しているため、手続きを含めたビザのサポートもしっかりしています。
また、外国人を多く雇っている企業も万全なビザサポートを行っているところが多い印象です。外国人スタッフの採用実績が重なるとともに、就労ビザの取得に関する手続きもスムーズになっているためと考えられます。
就労ビザ取得サポートが十分でない企業とは
一方で、個人で海外起業した日本人が率いる会社や外国人スタッフが少ない会社、現地ローカルの会社などでは、就労ビザの取得に慣れていないことがあります。そのような会社の場合だと、申請作業をすべて本人が行うこともあります。
実際に筆者の知り合いの会社では、初めて現地で社員を採用した際に就労ビザの申請方法が分からず、すべて本人にやらせるということがありました。
その本人は一度ビザを取得したことがあったので比較的スムーズでしたが、初めての就労ビザ申請を自分ひとりで行うとなると不安や心配も多いでしょう。
また、次に述べるように、採用されたけれどもビザが下りなかったというトラブルもよくあります。やはり事前にビザサポートの有無を確認することが大切です。
就労ビザが出ない会社も
一部の企業では、費用や手間を省くために就労ビザを出さない(出せない)ことがあります。現実に、観光ビザで来てくださいと言われ、そのまま観光ビザで働かされるということも起きています。
正規のビザを持たずに海外で仕事をすることは違法行為にあたります。たとえ会社に言われても、絶対に従わないようにしましょう。
就労ビザ取得の流れを把握する
ここまで説明してきたように、就労ビザ取得にあたっては、企業がサポートしてくれる場合と自分ひとりでやらなければいけない場合があります。
特に、自分でビザ申請を行う場合は相当労力が要ります。慣れない外国語で慣れない手続きをすることになるので、想像以上に大変な作業になるでしょう。
万が一、会社のサポートが受けられない場合でも、会社の中で日本語が話せる人に手伝ってもらうなどして、なるべく現地スタッフと一緒に行うようにしたいものです。
規定に従って書類を準備
就労ビザ発行の手続きは、その国の入国管理局(イミグレーション)が行います。
ビザにはさまざまな種類がありますが、就労ビザは、社員とその社員を迎える企業との契約に基づいて発行されるものです。申請にあたっては、決まりに従ってさまざまな書類を準備しなければなりません。
写真の色にも注意
また、定められた枚数・サイズの証明写真も必要で、背景の色の指定があるなど非常に細かい決まりがあることが多いです。
実際に筆者がインドネシアで就労ビザを申請した当時、証明写真の背景の色は「赤」と決められていました。しかし、日本国内の写真館でそれをお願いすると、通常、背景を赤にすることはないのでできないとのことで、かろうじてピンク色の背景の証明写真ができあがり、それを提出して受理された記憶があります(最新の情報は随時確認が必要です)。
この例はごく一部であり、国ごとに書類に対する条件は本当にさまざまなので、丁寧に見ていかなければならないところです。
ビザ発行までには数ヶ月かかることも
就労ビザ取得にあたっては、本人に犯罪歴などはないか、今後も犯罪を犯すおそれはないか、雇用契約はすべて事実であるか、その企業の業態は書類上の記述どおりであるか、など多くの細かい項目が確認されます。
そして、ビザ発行が承認されるまでに、時には数ヶ月という長い時間がかけられることもあります。また、一度発行されても有効期間が短ければ、そのたびに更新手続きが必要となってくるのです。
サポートが受けられる場合は感謝の心を忘れずに
このように見てくると、企業側が就労ビザの取得手続きを一部でもサポートしてくれるかどうかは非常に大きなポイントだということが分かります。更新のことを考えれば、若い世代にとっては特に重要です。
サポートを受けられる場合でも、企業側の人事担当者の腕次第で、手続きがスムーズにも煩雑にもなり得ます。
通常、どの企業でも外国人の雇用手続きに慣れたベテランの担当者がサポートしてくれることがほとんどです。勤務開始までに一番お世話になる人なので、謙虚な気持ちと感謝の心を忘れないようにしましょう。
ビザ取得代行会社を利用する時の注意
どうしても一人で就労ビザを申請しなければならない場合、手伝ってくれる会社があれば助かりますよね。ネットで調べると「ビザの取得代行」を掲げた会社が多く存在します。しかし、こういった会社に頼むときには注意が必要です。
通常、ビザの取得には万単位のお金がかかります。代行会社を利用した人の中には、高い代行金を支払ったのにビザが下りずお金もほとんど返ってこなかった人や、パスポートを悪用されてしまったという人もいます。
もちろん、すべての会社が要注意というわけではありません。しかし、ビザの取得は内定が下りてから始めれば十分です。急いで代行会社を探す前に、会社の担当者にしっかり確認しましょう。
日本への一時帰国に対するサポート
海外旅行のような短期の滞在では分からないかもしれませんが、長く国外に出ているとやはり日本の良さを改めて思い出し、次の一時帰国の機会が待ち遠しくなるのはよくあることです。
家族、友人、恋人のような大切な人々と長期間離れて頑張るからには、自分へのごほうびとしてたまには一時帰国をしたいものです。
そのため、企業側が、その一時帰国に必要な休暇を与えてくれるだけでなく金銭面でも補助してくれるのかどうかは、事前にチェックしておきたい項目です。
企業によっては、年間の上限回数や上限金額が決まっていて、それを超えない限り費用を負担してくれるところもあります。一部であっても補助があるのとないのとでは、帰国が重なった時の合計金額に大きな違いが出てきます。
会いたいときにすぐには会えない覚悟が必要
しかしながら当然、いつでも、何度でも、必要に応じて一時帰国が可能なわけではありません。たとえ日本の家族に不測の事態が起きようとも、帰国できない間に友人や知人と疎遠になろうとも、海外で働いている限りすぐに飛んでいくことは不可能です。
それでも、必要以上の帰国サポートを会社に期待するべきではないでしょう。それをしている時点で、海外転職には向いていないかもしれません。なぜならば、海外で働くということはそのようなデメリットも含めた上での選択であり、日本よりも苦労の多い環境でキャリアを築いていくことだからです。
事前にその点をしっかり理解しておくことこそが、一番大切です。
新たな環境で新たな人間関係を築く
福利厚生としての一時帰国に対する補助は、それに見合った仕事をした者こそが受けられる特典として認識すべきものともいえます。企業側と働く側との最大の歩み寄りとして福利厚生に掲げられていると考えてもいいでしょう。
ただ、海外で働くことで、それまでよりも友人関係が広がったり、さまざまな局面でお世話になる人が増えたりすることも事実です。日本に残してきた人たちと会える機会が減る一方で、環境が変わることにより新たな人間関係を築ける一面もあるのです。
残業・祝日・有給休暇
これらは日本か海外かに関わらず、働き方の基本として事前に確認しておきたい項目です。
- 残業はどの程度あるのか
- 祝日はどうなっているのか(日本カレンダーなのか現地カレンダーなのか)
- 有給休暇は年に何日あるのか
自分は残業組?それとも・・・
海外では、定時になると帰ってしまうスタッフがたくさんいます。その中で自分は残らなければならないのか、一緒に帰宅していいのかは気になるところ。
日系企業の場合は現地スタッフが帰っても残業させられることがあり、広い事務所に日本人だけポツンと残っているという状況も見られます。自分もその中の一人となるのかどうかはしっかり確認しておきたいですね。
祝日は日本と同じ?
海外の現地企業や外資系企業で働く場合、祝日は現地のカレンダー通りとなることが多いです。
しかし、海外にある日系企業だと、日本カレンダーで稼働することも珍しくありません。実際に日系の工場などでは、日本カレンダーで仕事をしているところがほとんどです。
海外で仕事をしているのに日本と同じ祝日なのかと思うかもしれませんが、これは会社によります。事前に確認しておきましょう。
現地での日常生活に関するサポート
新しい生活、特に海外での新生活を立ち上げるためには、非常にコストがかかります。初期費用を十分にまかなえるだけの自己資金を準備した上で現地に向かいましょう。
さもなければ、慣れない環境での最初の数ヶ月間、仕事も忙しい上に生活でも節約などの苦労を強いられ、ストレスが多くなってしまいます。海外で働くという選択をする時点で、渡航後の新生活を十分に支えうる貯蓄が不可欠となるのです。
それでは、現地での生活にはどのようなコストが発生するのか、6種類の経費について具体的にご説明していきます。
家賃などの住居費
ほとんどの場合、初めに生活の拠点となる住まいに関しては、自分ひとりで探す必要はないでしょう。転職する企業側で社宅扱いの住居を紹介してくれたり、現地スタッフが不動産賃貸契約を手伝ってくれたりすることが多いはずです。
そんな中でかかってくる初期費用、その後支払い続けていく月々の家賃等に対し、会社からどの程度サポートがあるのかはきちんと確認しておきましょう。
敷金・礼金・家賃前払い分などを忘れずに
社宅の場合は初期費用がかからないこともありますが、一般的に外部の不動産を契約した場合、日本で言う敷金・礼金が必要です。契約時に数ヶ月分の家賃を一気に払うことになるので、まとまったお金を用意しなければいけません。
ちなみに、筆者が外国で最初に契約したアパートは、入居時に家賃3ヶ月分前払い、敷金2ヶ月分、礼金半月分が必要でした。初期費用について完全に失念しており、お金が足りるのか冷や冷やした苦い経験があります。
また家賃以外に、アパートの管理費を毎月支払う必要がある場合もあります。1平方メートル辺りの値段が決められているところが多く、一般に部屋が大きければ大きいほど管理費も高くなります。
通勤などに関する交通費
毎日の通勤や、プライベートでの移動にかかる交通機関の利用料金も、生活費の大きな割合を占める項目です。
国や地域、状況によってどのような交通機関を利用するかは異なりますが、公共交通機関である電車、バス、タクシー、ローカルな乗り物などの場合もあれば、車を自分で運転したり、運転手を雇わなければいけなかったりする場合もあるでしょう。
その費用について、企業側がどのように負担してくれるのかは必ずチェックしなければなりません。
日本でいうSuicaやPASMOのような交通カードを利用すると交通費を安く抑えることができますが、外国人がそのようなカードを取得する際には会社側に書類記入してもらうことが必要な場合もあります。
海外旅行保険や現地保険の保険料
人や物に対しての損害保険と、自分が病院にかかったときのための医療保険の保険料も、海外生活では欠かせない出費です。
外国では日本のような公的社会保険制度がないところもあり、企業単位で医療保険に加入していることが多いので、転職先企業のやり方に従って保険契約することとなるでしょう。
海外で体調を崩したりけがをしたりしたときにかかる医療費は、実費請求されると驚くほど高額であることが多いため、医療保険の契約は必須です。手厚い補償を求めるほど、保険料も高くなってしまうことは避けられません。
生活に絶対必要な光熱費
生活するために電気、ガス、水道の料金がかかることは、どこの国でも同じです。
ただ、暑い地域ではエアコンの常時使用が必要だったり、衛生的に安全な生活用水が十分に供給されないエリアがあったりするのはもちろん、都市ガスかプロパンガスかによっても違うため、光熱費の中身は現地の事情により大きく異なります。
通常、光熱費は自己負担であることが多いと思いますが、水道代が家賃に含まれている賃貸アパートもあり、安く抑えることも可能です。
毎日の食費
現地で何を食べて生活するかによって、食費は大きく違ってきます。
外食ならどこでどんなものを食べるのか、自炊なら食材をどのようなお店で調達するのかなど、食費は自分で一番コントロールしやすい項目かもしれません。
食費に対する企業側の補助というのはあまりメジャーではないと思いますが、飲食店やホテルなどの仕事に就くならば、まかないがあるかもしれません。また、学校関係だと、学生用のカフェテリアが利用できることもあるでしょう。社内の食堂で朝・昼・夜すべての食事を済ませるという人もいます。
インターネット・携帯電話の料金
通信費といえば電話代のことだったのはもう昔の話。昨今はインターネットの方が主流なので、ネット環境に関わる費用が主となり、それに加えて電話代があるというケースがほとんどです。
Wi-Fiの利用料など、現地のプロバイダーとの契約にかかる料金は国や都市によって異なりますが、プライベートの通信費は通常、自己負担なので、現地の相場をよく確認しておきたいところです。
海外では、安くてもスピードが遅かったり、頻繁に切れたりするなどが日常茶飯事なので、よく気を付けて選びましょう。
海外ではSIMフリー端末が一般的
携帯電話の販売や契約について、海外では日本と少し事情が異なります。
日本では、まず契約したい携帯通信会社(キャリア)を選び、その会社が提供している端末とプランをセットで購入・契約するのが一般的です。
外国の場合は基本的に、携帯本体と通信会社は別々のもの。好きな機種を選んで端末を買った後に、SIMカードだけ買いに通信会社に行って、好きなプランを契約します。
つまり、海外で販売している端末はSIMフリー端末。日本で購入したSIMフリー携帯を持って行って現地のSIMカードを購入すれば、使える場合が多いのです。
それができれば、初期費用は大幅に抑えられますよね。もちろん、国や地域によって異なります。まずは確認してみましょう。
海外就職では給料を軸に生活コストをシミュレーションしてみる
ボーナスも気になりますが、当然ながらやはり日々の生活には月々の具体的な収入額が最重要となります。譲れない収入額を見極めるには、現地に移住して実際にかかるであろう支出を計算してみることです。
どんな項目にお金がかかるのか
住居費、食費、通信費、光熱費、交通費、交際費、医療費や医療保険料が主な項目となり、現地での税金などもあるかもしれません。家族帯同で子供がいる場合は、教育費も加わります。
これらは、就職希望の国によっても大きく差があるため、事前にしっかりリサーチして試算することが重要です。
日本からの駐在員の場合は会社から補助があることも多いですが、自ら現地採用の道を選んだ外国人という立場ではそのような補助はあまり期待できないので、シビアに考えておいた方がいいでしょう。
住居費
社宅をリーズナブルな金額で借りることができる場合もありますが、自分で住居を探すときは、金額よりも治安や通勤の便を考えなければいけません。その結果、家賃が割高になる可能性もあります。
食費
地元の安い市場やマーケットを利用するのか、それとも輸入食品を扱うスーパーマーケットを利用するのか、また外食の頻度によっても変わってきます。
遊興費など
現地滞在期間に、日本への一時帰国や他の国への旅行なども考えるならば、その資金をプールする必要も出てくるでしょう。
日本でかかる費用
住民票を日本に置いたままにするなら年金や保険料を支払い続けることになり、ローンの返済があるならその分も取り分けておく必要があります。実際に海外での生活にかかる費用以外に、日本でかかる費用は意外と盲点です。
海外就職で給料以外の譲れない条件を決めておく
海外での仕事を探していると、さまざまな求人広告に出会います。給料だけにとらわれるのではなく、
- どこの国で働くのか
- どんな仕事をするのか
- どのような条件で雇用されるのか
など、何を重視するのかしっかり考えることが必要です。希望をあいまいにしたまま海外への就職活動を進めてしまうと、想定外の条件での契約を招くこともあり、大切な自分のキャリアが取り返しのつかないことにもなりかねません。
良くない条件で無理に雇用契約を進める必要はないので、あらかじめ何を求めるのかをしっかりと決めておき、希望に合わない場合はさっと切り替えて次の求人を探しましょう。そして、良さそうな仕事が見つかれば、そこで給料に注目してみるのも一つの方法です。
まとめ~安定した海外生活のためにしっかり確認を
海外就職にあたって大きなポイントとなる給料。生活の基本になるのはもちろん、プライベートやこれからの人生においても重要なものです。
単純に毎月の給料の額だけ見るのではなく、細かい条件までチェックして総合的に判断しましょう。また、実際に働き始めてからでは遅いので、必ず事前に確認し、納得した上で契約することが大切です。
収入面が安定すれば、より充実した海外生活を送ることができますよ。
海外就職・海外転職するには
海外の求人状況は日々変化しています。海外で働くことを考えている人は、まずは転職サイトでどのような求人が出ているか見てみましょう。
求人を見れば、求人職種や給与、待遇の傾向がつかめてきます。そうすると海外で働くあなたのイメージが具体的になるので、転職の成功率はぐっと高まりますよ!
以下は海外転職成功者の利用実績がある転職サイトです。待遇がしっかりしている求人が多いので、安心して利用できます。いずれも登録は3分程度、サイトの利用料は無料です。
- リクルートエージェント(未経験から幅広く求人を探す)
- LHH転職エージェント(全世界から幅広く求人を探す)
- JAC Recruitment(海外勤務・外資系を狙う年収600万円以上の方向け)
あわせて登録したい:海外就職専門求人サイトGuanxi
登録したからといって、必ずしも転職する必要はありません。いい条件の求人やスカウトがないか、まずは気軽に探してみましょう。
海外就職を成功させて、人生をもっと面白くしませんか?